2004 Fiscal Year Annual Research Report
光トポグラフィによる言語処理メカニズムの直接的解明の可能性
Project/Area Number |
14658052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 徹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (90177890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 晴美 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 助教授 (50387479)
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Keywords | 光トポグラフィ / 脳科学 / 近赤外光 / 選択的注意 / マルチメディア / 第二言語習得 / スキーマ / メタ認知ストラテジー |
Research Abstract |
昨年度までの成果としては、L2としての英語の熟達度がペーパーテストではほぼ同等とみられる印欧語と、非印欧語を母語とする2群の英語学習者に聴解課題を課し、言語野における血流変化を調査したところ、非印欧語群では印欧語群よりも、血流の増加量が有意に多く、より多くの注意資源を振り向ける必要があるようにみられた。もう一つの成果としては、学習者を血流量の増減パターンの違いにより、無活性型、過剰活性型、選択的活性型、自動活性型の4つに分類し、これらパターン別に、課題の内容に関するスキーマ情報へのアクセスの影響による血流量の変化を観察した結果、無活性型では、スキーマ情報があると、血流は有意に増加するのに対し、過剰活性型、選択的活性型では有意に減少することが観測された。これにより、スキーマは、自動活性型をのぞいては、それぞれのグループで働き方は異なるが、いずれも、課題遂行について、有利な影響を与えることが確認された。 上記のような知見にもとづき、本年度は、各結果を補強する追試、結果の整理と総括、及び研究の新たな可能性の探求を主たる目標とした。具体的には年度前半を中心に(1)英語学習におけるメタ認知ストラテジーの脳科学的効果と選択的注意の関係、(2)英語学習者の母語の違いから見た脳活性状態、(3)L2としての日本語における正文と非文を交えた刺激に対する"noticing"、及び(4)日本語の擬音語・擬態語の心的イメージ等に関する追加、関連実験を行い、その成果をまとめた。同時に(5)言語学習者の脳内メカニズムの解明と光トポグラフィの言語学への応用についても考察した。さらに、新しい展開としてマルチメディア教材使用時の視線行動と第2言語処理の関係を、スキーマとしての映像提示効果の点に注目して、アイカメラと光トポグラフィの同時計測も試み、さらなる可能性についても、検討を加えた。
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Research Products
(1 results)