2004 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害を伴う肢体不自由児教育への3次元音響バーチャルリアリティの応用
Project/Area Number |
14658054
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
大内 誠 東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (40326715)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 / HRTF / 視覚障害児 / DSP / 信号処理 / ゲーム |
Research Abstract |
本研究では,三次元音響バーチャルリアリティの技術を応用することによって,視覚障害を伴う重度の肢体不自由児が遠隔地にいる同様の障害を持つ子供たちや健常な子供たちとコミュニケーションを図ったり,仮想音響空間上でゲームを行わせることができる聴覚ディスプレイとコンテンツの開発を行ってきた。 本年度は,聴覚ディスプレイをネットワーク上で利用できるようにすること,ネットワークで結んだ聴覚ディスプレイ上で稼働するアプリ(アプリケーションソフト)の開発を行うこと,それを用いて試用実験することによってアプリの評価と改善を行うこと,などを実施した。 1.ネットワーク化 2台の聴覚ディスプレイをイーサネットを介して接続するためのピアツーピア型通信プログラムの開発を行った。開発用ソフトはVisual C++を用い,通信用APIはDirect X 9.0を用いた。サーバを用いないため非常に高速な通信が可能になった。 2.対戦型アプリの開発 一昨年開発を行った音に触れるゲーム「ホイピッピ」を改善し,ふたりのプレーヤが1機のヘリコプターを同時に探索して,先に叩いたほうの得点になるようにした。また,仮想音響空間上を移動するヘリコプターの動きを複雑にすることによって,プレーヤはより音像の位置に注意を向け,正確に同定する必要が出てきたため,聴覚訓練効果や腕の機能訓練効果が向上した。 3.試用実験 初めに晴眼者8名を被験者にして試用実験を行った。実験は,それぞれの被験者に単独型を3回,対戦型を3回ずつ行って,10機のヘリコプターを叩く時間を測定した。その結果,対戦型の方が有意に短かかった。その理由として対戦型のほうがより競争意識を活性化したものと思われる。 また,盲学校の高等部の生徒2名,および教員4名にも試してもらい,アンケートを取った結果,対戦型のほうがより面白いという意見が大半を占め,ネットワーク対戦化がエンターテイメント性向上に有意に働いたことが示された。 以上の点から,視覚障害児の新しいコミュニケーションの道具として本システムが大いに役に立つ可能性が示された。
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