2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNA計算機の実用化に向けたアルゴリズムの設計論に関する研究
Project/Area Number |
14658091
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 幸一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90167198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 慰 南山大学, 数理情報学部, 助教授 (80262955)
犬塚 信博 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10221780)
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Keywords | DNA計算 / DNA除去モデル / NP完全問題 / 分割統治法 / DNAによる基本演算 / エラー率 |
Research Abstract |
DNA計算機の実用化に向けての基礎研究として,平成14年度は以下のことを行った. (1)Adlemanが用いた計算モデルは抽出モデルと呼ばれ,基本操作のエラー率が高いといわれている.Amosは基本操作に除去操作を用いた計算モデルを提案した.このモデルはエラー率が非常に低いが,使用DNA量が多くなるという欠点がある.本研究では,Amosの計算モデルをより実用的な観点から見直し,現実的なモデルを提案した(研究発表(4)).その計算モデルの上で,DNA量を削減するための方法論として,(a)新しい解の符号化,(b)分割統治法の適用を提案し,NP完全問題であるハミルトン経路問題,グラフの三彩色問題,部分グラフ同型問題に適用した.いずれの問題に対しても新しい解の符号化については理論的にAmosの解法に比べて悪くはならないことを示した.また,新しい解の符号化と分割統治法を緯合わせることによって,100%近くDNA量を削減できることをシミュレーションにより示した(研究発表(1)〜(4)). (2)DNA計算機を実用化するためには,加算や論理演算などをDNA計算の枠組みで計算しなければならない.従来,加算などの基本演算に関して,計算結果を再び入力とするような方法は知られていなかった.本研究では,計算結果を再び別の入力として用いることができるように,メモリをDNAで表現できるモデルを提案した.そのモデルの上でn個のmビット2進数の任意の論理演算をO(mn)のDNA鎖を用いて,O(1)時間で計算できるアルゴリズムを示した.また,O(n)個のmビット2進数の加算をO(1)時間で行うアルゴリズムを示した(研究発表(5)).
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Research Products
(5 results)
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[Publications] (1)中本, 五所野尾, 陳, 和田: "DNA計算におけるグラフの符号化について"電子情報通信学会論文集. J85-D-I,5. 393-400 (2002)
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[Publications] (2)鵜飼, 五所野尾, 伊藤, 陳, 和田: "除去操作を用いたDNA計算におけるハミルトン経路問題の解法について"電子情報通信学会 技術研究報告. COMP2002-13. 33-40 (2002)
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[Publications] (3)五所野尾, 鵜飼, 伊藤, 犬塚, 陳, 和田: "DNA計算におけるグラフ三彩色問題への分割統治法の適用について"電子情報通信学会 技術研究報告. COMP2002-35. 41-48 (2002)
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[Publications] (4)片山, 鵜飼, 五所野尾, 伊藤, 犬塚, 陳, 和田: "DNA計算による部分グラフ同型問題の解法における使用DNA量の削減"冬のLAシンポジウム. 1-10 (2003)
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[Publications] (5)A.Fujiwara, K.Matsumoto, W.Chen: "Addressable procedures for logic and arithmetic operations with DNA Molecules"Proc. of 5^<th> Workshop on Advances in Parallel and Distributed Computational Model. (to appear). (2003)