2002 Fiscal Year Annual Research Report
子供の発達過程解明のための計算科学的方法による描画解析
Project/Area Number |
14658095
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (40235966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 清之 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40129896)
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Keywords | 描画発達 / 子供らしさ / 計算科学的方法 / ベクトル画像処理 / 線の揺れ / 躍動感 / 巧緻性 / 保育経験 |
Research Abstract |
子供の描画発達を明らかにするという目的のもと、絵における子供らしさに焦点をあて、2つの方向から研究を進めた。ひとつは、ベクトル画像処理によって計算科学的解析を進めた。子供の絵の特徴のひとつとして躍動感に注目し、それをうみだす線の特徴が、大人の描いた線とどのように異なるかを客観的に記述するために、線の揺れに注目し、発散ベクトルと回転ベクトルの方向と強さの分布を抽出する手法によって解析を進めた。もうひとつの方向としては、子供とかかわる経験の量によって、絵の子供らしさの捉えかたがどのように異なるかを心理学的な調査を通じて明らかにした。一般学生、保育系短大生、それに幼稚園教諭・保育士を対象にして、幼児の描いた絵を印象評定してもらい、絵のどのような特徴に注目するかを調べた。それによると、躍動感への注目は、保育経験によらず一致度が高い一方、描画の巧緻性や可愛らしさについての見方や評価のしかたは、保育経験によってかなり異なることが見出された。保育者では子供の絵の巧緻性を一般学生よりも高く評価し、可愛らしいと捉える傾向がある一方、ふだん子供とあまり接していない一般学生では、それとは異なる傾向があった。躍動感は、一般学生・保育系短大生・保育者が共通して高い評価を与えていた。巧緻性よりもむしろ躍動感の方が、絵を見る大人の間で一致度が高いことは、これまで主観的とみなされがちであった躍動感が、子供の描画発達を考える上で重要であることを示唆している。
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Research Products
(2 results)