2004 Fiscal Year Annual Research Report
子供の発達過程解明のための計算科学的方法による描画解析
Project/Area Number |
14658095
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40235966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 清之 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40129896)
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Keywords | 子供の発達 / 描画 / 躍動感 / 「いい絵」の選択 / ベクトル画像解析 / 線の揺れ |
Research Abstract |
幼児が絵を発達させるにあたって、どのような「いい絵」のイメージをもっているのか、それが実際に描く絵とどう関係しているのかを調べた。(1)大人の描く絵を「いい絵」と思いながら、それに向けて描画スキルを上達させるのか、あるいは「いい絵」のイメージそのものも幼児期の間に変化をするのか、(2)「いい絵」の選択と自分で描く絵とはどのような関係にあるのか、の2点が探求の焦点であった。4〜5歳児73名に対して調べたところ、「いい絵」として選択する絵は,いわゆる「じょうずかどうか」という基準については4歳児も5歳児も変わらなかったが、5歳児より4歳児の方が躍動感の高い絵を選んだ。言いかえると、年齢が高くなるほどパターン化した絵を「いい絵」とみなすようである。さらに、躍動感の高い絵を選ぶことと自分が躍動感の高い絵を描くことの間にも一定の関係がみられた。すなわち、躍動的な絵を描く傾向の高い年少の段階では、躍動感の高い絵を「いい絵」と考えるが、発達とともに、よりパターン化した絵を描くようになるとともに、「いい絵」のイメージも変化して,躍動的であるよりは、きちんと整った絵を好むようになることがわかった。計算科学的手法によるベクトル画像処理によって、絵の非対称性や線の揺れを分析した。4歳児が選ぶ絵の方が、絵全体の非対称性や線の揺れが大きいことがわかった。それは年少児ほ躍動感のある絵を好む傾向があることと一致する。幼児期の描画の発達は,一定の「いい絵」のイメージをもちそこをいわば目標として進むのではなく,描画スキルの上達とともに、「いい絵」の考え方もかなり大きく変化することが明らかとなった。
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