2003 Fiscal Year Annual Research Report
大谷石の岩石風化に伴う地下採掘場跡地の岩盤崩落について
Project/Area Number |
14658126
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松倉 公憲 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80107341)
|
Keywords | 大谷石 / 岩盤崩落 / 風化 / 岩盤強度 / 凝灰岩 / 塩類風化 |
Research Abstract |
平成15年度の調査から,以下のようなことが判った. (1)石材として利用される大谷石は,層序関係から,最下部層,下部層,中部層,上部層とに4分される. (2)石材としての大谷石の採掘は露天掘りの場合もあるが,採掘が地下で行われた地域では,その採掘跡が空洞化しており,その上部が崩落するという岩盤崩落災害がしばしば起こっている. (3)一般に熔結度の低い細目石(上部層)の分布する地域において,岩盤崩落が顕著である.次いで中部層の軟質荒目の分布する地域で少し発生し,同じ中部層の硬質荒目地域では岩盤崩落はほとんど発生していない. (4)岩盤崩落の場所としては,断列系に沿ったところあるいは二次的な割れ目が交わるところに発生しやすい. (5)下位のものほど熔結度が大きくなっている.すなわち岩石の強度としては下位の硬質荒目が最も大きく,上部の細目がもっとも小さい. (6)上記の(4)と(5)から,岩盤崩落の地域的偏在は,分布する岩石の強度にコントロールされている可能性が示唆される. (7)野外観察から,大谷石は冬季の乾燥時に塩類風化していることがわかった. (8)大谷石を用いた塩類風化実験をおこなったところ,大谷石は強度が弱く小さい間隙が多いことから,極めて塩類風化に対する抵抗性が弱いことがわかった. (9)岩盤崩落の平面的形状をみると,円形の場合が多い. (10)次年度は岩石強度をもとに,岩盤崩落のメカニズムについての安定(不安定化)解析を行う予定である.
|
Research Products
(1 results)