2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658143
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 博司 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80261543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野 康志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272005)
関根 勉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20154651)
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Keywords | 陽電子 / 対消滅 / ポジトロニウム / 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 亜酸化窒素 / 陽電子寿命 |
Research Abstract |
超臨界流体中における陽電子寿命測定のための高圧セルを設計・製作した。高圧セル(15ml)内の温度(10〜70℃)と圧力(10〜100MPa)を制御し、二酸化炭素および亜酸化窒素試料を気相、液相および超臨界流体相と変化させ、試料中での陽電子寿命とその強度を同時計数法により系統的に測定した。これまでの高圧気体標的中での陽電子寿命測定では、検出効率を上げるため低分解能の検出器を使用したため、時間分解能が1ns(FWHM)程度であった。本研究では、高分解能をもつ小結晶のBaF_2検出器を用いるため、標的の温度・圧力を長期間にわたり一定に保つ工夫をし、高分解能0.24ns(FWHM)を達成できた。これにより陽電子寿命スペクトルを4成分に分解できた。 4つの陽電子寿命成分は、それぞれパラポジトロニウム成分(τ_1=0.12ns)、自由消滅成分(τ_2=0.5〜0.7ns)、オルトポジトロニウム成分(τ_3=1.5〜6.7ns)および(τ_4=5〜42ns)と結論した。自由消滅寿命は二体衝突の消滅断面積から予想される値から大きくずれ、数密度が増すにつれ相互作用が引力的から斥力的に変化した。これは、陽電子と複数個の分子による多重散乱の効果であると考察した。2つのオルトポジトロニウム成分は前者がスパー模型による熱化陽電子によるポジトロニウム生成、後者がオーレ模型による熱化前のポジドロニウム生成であると同定した。 一方、陽電子の消滅過程を理論的に解明するため、時間依存チャネル結合による非経験的計算方法を開発した。ポジトロニウム生成しきい値より高いエネルギーでの直接過程による陽電子消滅の断面積を初めて計算し、直接消滅過程の機構を明らかにした。これは時間依存の取扱を導入により、時間的に全く異なる事象である衝突中の陽電子消滅過程とポジトロニウム生成後の陽電子消滅を分離できたためである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] N.Yamanaka, Y.Kino, Y.Takano, H.Kudo, A.Ichimura: "Enhancement of Direct Positron Annihilation Due to Temporal Capture by an Atom"Physical Review A. 67. 052712 1-052712 4 (2003)
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[Publications] N.Yamanaka, Y.Kino: "Time-Dependent Coupled-Channel Calculations of the Annihilation Rate in Positron-Hydrogen Collisions"Hyperfine Interactions. 146/147. 337-341 (2003)
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[Publications] N.Yamanaka, Y.Kino: "Time-Dependent Coupled-Channel Calculation for Elastic Scattering of Positrons by Hydrogen Atoms and Helium Ions"Physical Review A. 68. 062715 1-062715 6 (2003)
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[Publications] N.Yamanaka, Y.Kino: "Antihydrogen Formation in Antiproton-Positronium Collisions"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 214. 40-43 (2004)
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[Publications] K.Funakoshi, Y.Kino, T.Sekine, H.Kudo, Y.Ito, T.Suzuki: "Positron Annihilation Lifetime Measurement in Supercritical Fluid of N_2O"Materials Science Forum. 445/446. 295-297 (2004)
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[Publications] Y.Toya, Y.Kino, H.Kudo: "Positron Annihilation in Resonant States of the He^<2+>+e^-+e^+ System"Materials Science Forum. 445/446. 446-448 (2004)
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[Publications] Y.Toya, Y.Kino, H.Kudo: "Positron Annihilation in Resonant States of the He^<2+>+e^-+e^+ System"Materials Science Forum. 445/446. 446-448 (2004)