2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658148
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
冨安 博 信州大学, 工学部, 教授 (50016854)
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Keywords | 放射性廃棄物 / 減用化処理 / 超臨界水 / 酸化ルテニウム / 触媒 / 硝酸ナトリウム / 酸化剤 / 難燃性物質 |
Research Abstract |
本研究は、超臨界流体、特に超臨界水を用いて、原子力発電所等で発生する低レベル放射性廃棄物の処理を行い、劇的な減容化を達成することを目的とする。放射性廃棄物の多くはプラスチックや天然ゴムを原料とする難燃性物質で、それらは積層シート、難燃シート、難燃テープ、陰イオン交換樹脂、ゴム手袋であり、放射性元素を含んでいることが、通常の燃焼処理を極めて困難にさせている。原子力発電所では、これら低レベル放射性廃棄物が年々蓄積され、早急な対策が急務となっている。本研究の最大の成果は、超臨界水において、酸化ルテニウム(IV)を触媒として、上記難燃性物質を、ポリ塩化ビニルを除いて、ほぼ完全に分解し、ガス化したことである。すべての試料について、固体残渣は全く観測されなかった。ゴム手袋のみ処理後に油分残渣が見られたが、他は100%ガス化することに成功した。発生する気体は、二酸化炭素、メタン、水素が主成分で、一酸化炭素等の有害な気体はほとんど検出されなかった。また、放射性同位元素(放射性鉄、コバルト、セシウムおよびヨウ素)を用いた実験では、気体中からは全く放射能は検出されなかった。即ち、発生する気体を燃料として使用すれば、難燃性物質を限りなくゼロまで減容化することができることを意味する。放射性鉄とコバルトは酸化物の固体として回収することができた。その際、担体として非放射性の鉄酸化物を用いると、ほぼ100%の回収が達成できた。本処理法の最大の特徴は、触媒以外の添加物を一切使用しないことである。つまり、触媒としての酸化ルテニウムを回収して再利用する限り、二次廃棄物の発生は有り得ないということである。超臨界水中において酸素を酸化剤とする既存の超臨界水酸化法と同じ条件で比較すると、本方法は分解率で圧倒的に優位にあることが明らかであった。ポリ塩化ビニルの処理に関しては、酸化ルテニウム触媒法および超臨界水酸化法のいずれも対応できなかった。塩素系有機物は分解により塩化水素を発生するからである。ポリ塩化ビニルの処理では、超臨界水において硝酸ナトリウムを酸化剤とする新たな方法を開発した。この方法は広く、PCB等他の塩素系有機物の処理に利用できることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)