2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境中に放出された超微量金属ポルフィリンの生物への濃縮性と影響の探査
Project/Area Number |
14658150
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斉藤 紘一 東北大学, 大学教育研究センター, 教授 (90004457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 吉弘 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (70213296)
|
Keywords | ポルフィリン / 生物濃縮 / 分配係数 / 環境汚染 / 油流出 |
Research Abstract |
本研究では、環境中に流出しうる金属ポルフィリンの例として石油ポルフィリンをとりあげ、特に存在量の多いバナジウムポルフィリンに注目してきた。本年度は、以下のように研究が進められた。 (1)石油ポルフィリン標品の調製:原油中に微量含まれている石油ポルフィリンの高効率な分離・濃縮法の確立に向けて具体的な検討を進めた。その結果、主にクロマトグラフィーを組み合わせる手法により、40種もの石油ポルフィリンの迅速分離に成功し、そのうち少なくとも20種については、比較的多量得られる見通しがえられた。 (2)石油ポルフィリンの化学的安定性を評価する上で必要不可欠な化学形態分析法として、液体クロマトグラフィーと紫外一可視分光法および質量分析法を組み合わせた高感度分析法の適用を検討した。これにより、石油ポルフィリンの化学形態識別が容易になった。この化学形態分析法を適用して、種々の温度、および溶媒条件下における石油ポルフィリンの化学形態変化を定量的に求める実験が開始された。 (3)環境試料中の超微量金属ポルフィリンを化学形態分析するために必要不可欠な高倍率予備濃縮法の設計を進めた。その結果、純水中のバナジウムポルフィリンを通常法の100万倍濃縮して分析することに成功した。この手法を適用して、バナジウムポルフィリンの水への溶解度を測定することに初めて成功した。また、多元素分析を図るためPIXEとの組合せについて、予備実験を開始した。
|