2002 Fiscal Year Annual Research Report
土壌呼吸量測定法の確立による純一次生産量データから生態系純生産量データへの変換
Project/Area Number |
14658154
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
福嶌 義宏 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (00026402)
|
Keywords | 土壌呼吸測定法 / 純一次生産量 / 生態系純生産量 / NEE / チャンバー / 乱流フラックス / 夜間大気安定時 / CO2 |
Research Abstract |
本年度には以下に述べる2種類の方法から森林土壌の呼吸量について研究を進めた。方法1は新たに開発された土壌呼吸連続測定装置による林内土壌からのCO2放出量分布の観測である。本方法は8個の自動開閉式チャンバーを2本の樹木間地表面に均等に配置することによって、CO2放出量の空間分布を観測する。観測地は名古屋大学構内のコナラ二次林と苫小牧のカラマツ人工林である。期間は2002年8月4日〜9月8日(名古屋大学構内)および、同年9月18日〜10月31日(苫小牧)。名古屋と苫小牧の両地点で観測された値は場所ごとに変動しており、それと根量や有機物量との関係はまだ明確ではない。ただ、マクロに見れば、地温で定められる指数式には従っている。方法2は林内で夜間に発生したCO2貯留と樹冠上で測定されるNEE(生態系純変化量)の解析である。苫小牧における上記の林(約15m高)に設置されているタワーにおいて、超音波風速計とオープンパス型赤外線式分析計を用いて、2002年秋、26m高と17m高のNEEが求められた。一方、林内鉛直方向10高度から引き入れた空気から、クローズドパス型赤外線分析計を通してCO2濃度を計測した。CO2フラックス測定に関しては、夜間大気安定時のNEEの値が問題である。いま、夜間NEEは樹冠上の各乱流フラックスに林内の鉛直方向の濃度計測で得られたCO2貯留量の和として定義される。同時に、方法1に述べたチャンバー法で観測された土壌呼吸量(SR)の比を樹冠直上17m高と26m高で較べると、その比は1を下回り、NEEのSRに対する過小評価となっているし、さらに17m高のNEEに対して26m高のNEEが大きな値を示す。なお、本研究は、本研究代表者が所属する総合地球環境学研究所の測器類と名古屋大学地球水循環研究センター・檜山哲哉助教授、環境学研究科院生・小林奈花子氏、名古屋大学生命農学研究科・太田岳史教授、農学部4回生・品川哲郎氏の研究協力、ならびに、(独)国立環境学研究所の施設利用をいただき実現したものである。
|
-
[Publications] S.Sirisampan, 檜山哲哉, 高橋厚裕, 橋本哲, 福蔦義宏: "落葉・常緑広葉樹から構成される二次林の気孔コンダクタンスの日変化と季節変化"水文・水資源学会誌. 16.2. 113-130 (2003)
-
[Publications] X.Ma, Y.Fukushima: "A numerical model of the river freezing process and its application to the Lena River"J.Hydrological Processes. 16. 2131-2140 (2002)
-
[Publications] X.Ma, Y.Fukushima: "Mathematical Models of Large Watershed Hydrology (Edited by V.P.Singh & D.K.Frevert)"Water Resources Publications, LLC. 891 (2002)