2002 Fiscal Year Annual Research Report
UVB照射で生成する長寿命ラジカルと突然変異・ガン化との関係
Project/Area Number |
14658161
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊谷 純 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (20303662)
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Keywords | long-lived radicals / point mutation / UVA / UVB / UVC / Quantum Yields |
Research Abstract |
哺乳動物細胞への紫外線影響はDNA中のピリミジンダイマー生成などが知られているが、UVB領域においてはそれらの生成と突然変異頻度との関係は明確ではない。我々はUVB照射によって動物細胞内に長寿命ラジカル(LLR)が生成されることを発見した。放射線で同様に生成するLLRは、点突然変異を誘発する。本研究では紫外線照射によって生成するLLRの量子収率の波長依存性及び、LLRの生成箇所について考察した。 ゴールデンハムスター胎児細胞(SHE)、および卵生アルブミン(ALB)とサケ精子製DNAの10%水溶液にUVA(365nm),UVB(313nm),UVC(254nm)の紫外線を照射し、生成したLLRを77KでESR測定して量子収率を求めた。 SHEにおいてはUVBとUVC照射のLLRの量子収率はほぼ等しく、UVAのそれはUVB、UVCの場合の10%以下となった。ALB水溶液に照射した場合の量子収率もSHEの場合とほぼ同様になったが、DNA水溶液中ではどの波長領域でもLLRの生成が認められなかった。これらの結果からUVB、UVC照射によってSHE中に生成したLLRは、DNA上ではなくタンパク質上に生成したラジカルであることが示唆される。SHE、ALB共にUVB、UVC照射によって生成するLLRの1種類は放射線照射時に生成して突然変異を誘発するLLRと同一のスルフィニルラジカルであり、UVB照射による突然変異誘発は、LLR生成が原因になっているものと推察される。UVB照射によって生成したLLRとビタミンCとの反応速度定数は、γ線照射によって生成したLLRとの速度定数の約10倍になることがわかった。従って、UVB照射によってLLRの生成したタンパク部位は、UVBとγ線では異なることが示唆される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kumagai, J., Itagaki, Y., Shiotani, M., Kodama, S., Watanabe, M., Miyazaki, T.: "Long-lived mutagenic radicals induced in mammalian cells by ionizing radiation are mainly localized to proteins"Radiation Research. (印刷中). (2003)
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[Publications] Kumagai, J., Kawaura, T., Miyazaki, T., Prost, M, Prost, E., Watanabe, M., Leclercq, J.Q.: "Test for antioxidant ability by scavenging long-lived mutagenic radicals in mammalian cells and by blood test with intentional radicals: an application of gallic acid"Radiation Physics and Chemistry. 66. 17-25 (2003)
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[Publications] 熊谷 純: "磁気共鳴法を用いた照射生体中の長寿命ラジカルの観測と生物効果との関連性の解明"放射線化学. 75. 3-11 (2003)
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[Publications] 熊谷 純: "突然変異やガン化を誘発する長寿命タンパク質ラジカル〜電子スピン共鳴法・電子スピンエコー法による解析〜"放射線生物影響. 37・1. 85-103 (2002)
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[Publications] Miyazaki, T., Morikawa, A., Kumagai, J., Ikehata, M., Koana, T., Kikuchi, S.: "Long-lived radicals produced by γ-irradiation or vital activity in plants, animals, cells, and protein solution : their observation and inhomogeneous decay dynamics"Radiation Physics and Chemistry. 65. 151-157 (2002)