2002 Fiscal Year Annual Research Report
土壌―植物系に及ぼす高CO2の影響の温泉ガス源によるnon-artifact評価
Project/Area Number |
14658162
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
足立 文彦 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (10335549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (10325045)
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Keywords | 温泉 / CO2 / 二酸化炭素 / ススキ / 濃度 / 温暖化 / 炭素同位体 / 土壌成分 |
Research Abstract |
これまでの調査から抽出した島根県内の温泉源33地点の内、泉源が自然植生の中にある10地点について、環境変動評価に利用できるかを、植生が高濃度のCO2ガスに暴露しているか、人為的外乱がないかについて検討し、その可能性が最も高い江津市「岩龍寺」地区の山間の耕作放棄田を、さらに、三瓶山の旧噴火口周辺に位置するCO2噴気地点「鳥地獄」を調査地点として選び、泉源からの空間的配置に考慮して土壌・植物体サンプルを採取した。岩龍寺サイト地表面のCO2濃度は泉源の1350ppmを最高に距離が離れるに従って自然界レベルに低下した。イネ科雑草の葉色調査の結果、葉色は泉源から離れるに従って減少し、CO2濃度の変化と同様の傾向を示した。土壌中CNの測定を行ったが、明確な傾向は認められなかった。炭素や窒素(有機物)は耕作中止からの年月が20年程度であり、今のところ植物の生育や土壌への有機物の還元量の差に影響がでていないと考えられた。ポット栽培した幼穂形成期のイネ植物体をサイトに持ち込み、泉源から異なる距離に設置し、その後15日間の植物の反応を見ると、葉面積比、葉色に変化が見られ、葉面積展開が影響を受けたと見なされた。今後はより長期間に適用できる実験方法に改める必要がある。鳥地獄サイトでは土壊の液相%や炭素含有量がサンプル地点により大きく異なっていた。これは、谷地の微地形が影響し、降雪水の流下が物質の堆積様式に影響した結果であると考えられる。サイトのCO2濃度は濃度が非常に高い地点では地上1mでも2%近くに達する。夜間などに風が停止する場合には、低地にCO2が流れ3000ppm程度の濃度のガスが停滞する現象が観察された。昼間は風によって希釈され500〜700ppm程度であった。植生は湿地にはアブラガヤ、その他はススキ群落が卓越しC3植物は少ない。炭素同位体分析からススキの炭素同位体分別値を求めると、非常に高いCO2濃度の地点では、同位体分別値が高く、物質生産効率が低下していたことが示唆された。ススキ植物体に含まれる14C炭素同位体比から植物が曝露していた平均的なCO2濃度を現在推定中である。
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