2003 Fiscal Year Annual Research Report
土壌―植物系に及ぼす高CO2の影響の温泉ガス源によるnon-artifact評
Project/Area Number |
14658162
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
足立 文彦 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (10335549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (10325045)
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Keywords | 温泉 / CO2 / 二酸化炭素 / ススキ / 気温 / 温暖化 / 同位体 / 温度勾配 |
Research Abstract |
高二酸化炭素濃度条件が自然植生に及ぼす影響を、島根県大田市の三瓶山旧噴火口周辺(鳥地獄)を調査地点に絞り、炭素同位体分別の泉源からの距離に応じた変化を、CO2濃度とともに測定した。その結果、ススキの炭素同位体分別値は4.12から5.84‰まで変化し、CO2濃度が高い地点で特に低い傾向にあった。一方、14Cの分析結果の解析から、鳥地獄のススキ乾物には地殻由来のCO2が多く含まれていることがわかった。すなわち、鳥地獄サイトの草本植物は泉源からのCO2を主に吸収して同化を行っていた。次に、ススキ葉身を泉源からの距離に応じてサンプル採取し、直接検鏡法により気孔密度を求めると、葉身形態により変動があるものの、総じて泉源近くの葉身の気孔密度は粗であり、泉源からの距離が離れるにつれて、すなわちCO2濃度の低下にともなって密になる傾向にあった。 片側から送風した温室内に温泉ガスをとり込み、CO2富化と温度上昇の植物に対する影響を同時に見るために、温度勾配温室のモデルを作成し、気温を1〜3℃上昇させる場合の通風量を実証的に求めた。その結果、外気の平均気温から数度内部の気温を上昇させる場合、夏季には大きな通風量を確保する必要があること、気温が低下する冬季にはほぼ換気を停止しないと温度が上がらず、加えて温度の勾配がうまく作出できないことがわかった。通気量の多い夏季と少ない冬季では、所定のCO2濃度に維持するための必要CO2量が異なること、通気量の多い場合にはかなりの量(濃度)のCO2が必要となることが予想される。すなわち、イネのような夏作物を供試し、温泉ガスを用いた温度勾配温室で実験を行うためには極めてCO2供給量の大きい(温)泉源を使用する必要と、内部体積を熱バランスに応じて最適化する必要があることが明らかとなった。今後は、泉源候補を選定し、温泉ガス源の利用条件を実証的に求める必要がある。
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