Research Abstract |
本研究は,従来焼却処分されてきた廃棄木材を石炭の代替として製鉄プロセスで使用することによって,石炭の消費量を減少させ,これに伴う二酸化炭素の発生量を減少させて地球温暖化の抑制に貢献しようとするものである.また,本処理法によって,焼却処分される木材ゴミが減少し,ゴミ焼却設備の処理能力不足の解消と,その周辺環境の保全にも役立てようとするものである. 本研究は2年間の研究期間の設けた.本年度はその初年度であり,以下の研究を実施した. 1.廃棄木材の乾留特性と生成物の性状評価(森,梶本,川口が協同で実施) 廃棄木材の乾留物をコークスの代替として高炉で使用するためには,積層充填されたときの荷重に耐える強度が必要である.一般に,木材の密度が大きいものほど硬い性質があることが認められているため,本実験では,普及している木材の中でも密度が小さいスギ廃材と,密度が大きいマツ廃材を用いて乾留を行い,性状を評価した.乾留には,耐火断熱レンガを用いて製作した内容積12リットルの炭化炉を用いた.乾留を約10時間行ったところ,材質に関係なく,良好な炭化物が得られた.これらのモース強度を測定したところ,スギが1.5,松が3.5であった.高炉での使用には,モース高度が3以上必要であり,松およびそれと同等の強度(密度)を持つ木材は,コークスの代替として高炉で使用可能であることが分った.しかし,スギなどの柔らかい木材の炭化物では,強度が不足する.この対策として,密度が小さい木材は空気による輸送が容易であるため,高炉の炉底羽口から熱風と共に炉内に吹き込む方法が考えられる.すなわち,高強度材は炉上から挿入し,低強度材は炉底吹き込む.この方法はかなりの実現性があることから,来年度も積極的に検討を進める. 2.廃棄木材発生量の調査(森,梶本が協同で実施) 大阪府を中心に調査を行った.大阪府では,平成12年には年間22万トンの廃棄木材が発生しており,今後の発生量予測では,平成22年度には24万トンにまで増加することが予想され,高炉で使用する木材源は将来的にも多く存在することが明らかになった.今後は,本処理法のコストと,木材の再利用に伴う処理コストを比較し,本処理法の課題を明らかにする.
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