2003 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の電子伝達複合体形成の阻害剤開発とプラスチド酸化還元反応の制御
Project/Area Number |
14658195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | 光合成電子伝達 / 電子伝達複合体 / フェレドキシン / フェレドキシン:NADPH酸化還元酵素 |
Research Abstract |
光合成ではたらく電子キャリアー蛋白質であるフェレドキシン(Fd)は、電子授受の相手側酵素と特異的な蛋白質間相互作用ができる特性を備えている。この相互作用の主要なものは、蛋白質の塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸の塩橋形成による静電的結合力であり、これらの側鎖荷電と同様なあるいは逆の荷電の三次元分布をもっポリペプチドはFdとFNRの蛋白質間相互作用力を弱め、分子間電子伝達反応を特異的に阻害することが期待される。本年度は、植物葉で機能する光合成型のFd:FNR複合体と根で機能する非光合成型のFd:FNR複合体の立体構造情報を基に、分子間相互領域を系統的に評価する研究を計画した。平成15年9月に別に申請していた学術創成研究費の採択が決定し、本研究は途上で廃止することとなったが、学術創成研究費との研究の継続性はあり、以下の知見を得た。 1)Fd:NADP+還元酵素(FNR)との電子伝達反応において、電位が約200mVした変異体(葉型FdではS45G変異体及び根型FdではS46G変異体)はそれ自身は電子伝達不活性であり、葉型、根型の電子伝達複合体何れにおいても構造特異的な阻害分子として機能する。この阻害分子のX線結晶構造解析を行った。 2)Fd:FNR複合体の立体構造をラン藻、高等植物の葉、根の3種について、分子進化の観点から考察し、それぞれの特異的分子認識にかかわるアミノ酸残基を明らかにし、それらが分子進化上高度に保存されていることを明らかにした。 3)Fdの葉緑体内濃度は数十μMから100μMであり、この生理的な濃度下でのFdと酵素の蛋白質・蛋白質の相互作用や電子伝達反応を詳細に解析することが必要であり、FNRや亜硫酸還元酵素を対象に蛋白質工学的手法で明らかにした。
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Research Products
(1 results)