2003 Fiscal Year Annual Research Report
揺らぎで働く超分子システム(細胞運動の光ピンセットによる測定)
Project/Area Number |
14658209
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 英威 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90229865)
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Keywords | アクチン / 熱ゆらぎ / 細胞膜運動 / 光学顕微鏡 |
Research Abstract |
細胞運動においては細胞膜先端が突出したり後退したりすることが不可欠なステップである。膜突出においては細胞膜直下でアクチンが重合するが、重合と突出を結びつける物理的機構には不明の点が多い。そこで、生細胞の細胞膜運動を光ピンセット法によって測定し、膜突出現象の分子機構解明を目指した。 細胞膜先端に、光ピンセットで保持した直径1ミクロンのビーズを接触させ、ビーズの位相差顕微鏡画像の輝度重心を33ミリ秒ごとに精度3ナノメートルで決定した。このようにして得たビーズの変位をもとにビーズの速度ならびに光ピンセット中心へ向かう復元力を求めた。膜の動きはビーズの動きに反映されていると考えられる。結果は以下の通り。(1)膜が突出するとき、後退するときいずれの場合も加速・減速が見られた。(2)突出の最大速度・後退の最大速度には相関が見られた(r=0.86)。(3)突出の最大速度は、その時点における光ピンセットの復元力と負の相関を示した。(4)突出の最大速度とその時点近傍におけるビーズの熱揺らぎの大きさに相関が見られた。 (1)と(2)の結果は膜の突出と後退運動が共通の機構で制御されていることを強く示唆する。(3)の結果は理論的には予想され、また一見当たり前のようであるが、本研究がはじめて実験的に明らかにしたことである。(4)の結果が一番興味深い。理論的には膜または細胞膜直下のアクチンフィラメントの熱揺らぎが細胞膜直下におけるアクチン重合のレートを、従って膜突出速度を支配することが示唆されていたが、実験的には何の証拠もなかった。本研究で初めて熱揺らぎと細胞膜運動の間の関係が浮き彫りにされ始めたのである。結果(1)-(3)はBiophysical Journalに掲載済み。また、結果(4)は2004年2月の第48回米国生物物理学会で発表。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takahashi, F., Higashino, Y., Miyata, H.: "Probing peripheral movements by optical trapping technique"Biophysical Journal. 84・4. 2664-2670 (2003)
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[Publications] Ishikawa, J., Okano, J., Ohki, K., Amagai, A., Maeda, Y., Miyata, H.: "Phagocytosis of Dictyostelium discoideum studied by the particle-tracking method"Experimental Cell Research. 288. 268-276 (2003)
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[Publications] Hirata, H., Ohki, K., Miyata, H.: "Change of the topography of ventral cell surface during spreading of fibroblasts"JSME International Journal, Series C.. 46・4. 1208-1217 (2003)
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[Publications] Miyata, H.: "A study of lamellipodial membrane dynamics by optical trapping technique"Proceedings of "Molecular and cellular aspects of muscle contraction" Sugi, N. ed. 335-345 (2004)