2003 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化によって活性が制御される蛋白質のスクリーニングと機能解析
Project/Area Number |
14658227
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岸 努 独立行政法人理化学研究所, 岸独立主幹研究ユニット, 独立主幹研究員 (80260024)
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Keywords | ユビキチン / タンパク質分解 / 活性制御 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
タンパク質の合成と分解のバランスの制御は、細胞機能を正常に維持するために必要である。そのためにタンパク質分解系の機能の異常は、ヒトでは様々な疾患の原因となりている。SCFユビキチンリガーゼは、出芽酵母からヒトまで広く保存されたユビキチンリガーゼで、特定の制御タンパク質の特異的な分解に関与している。これまで、SCFユビキチンリガーゼは、発生、分化、細胞分裂、形態形成、免疫応答、転写制御などに関与する事がわかっているが、これらの過程で、ユビキチン化により分解される制御タンパク質はほとんどわかっていない。 筆者は、出芽酵母SCFユビキチンリガーゼであるSCF/CDC4によってユビキチン化されるタンパク質を同定(Usf1およびUsf2)したので、これらの機能解析を行った。 Usf1は転写因子である。G1期に同調した細胞では、SCF/CDC4に依存してユビキチン化され分解されるが、G2/M期に同調した細胞では安定化されている。この理由を、(1)Cdc4の局在性、および(2)Usf1をユビキチン化に導くシグナルの観点から考察を行った。その結果、Usf1の核移行と核内でのリン酸化が、Usf1のユビキチン化と分解を制御する事を明らかにした。また、安定化フォームのUsf1を作製し、野生株で過剰生産すると、野生株の増殖が阻害されることから、SCF/CDC4によるUsf1の分解は細胞機能に重要であることが示唆された。 Usf2はカルシウムシグナリングの制御因子である。カルシウム存在下では安定であるが、非存在下では不安定であり、SCF/CDC4によってユビキチン化されることを明らかにした。
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