2002 Fiscal Year Annual Research Report
クロモドメイン蛋白質MRG15の遺伝子重複はパニック障害の脆弱因子か?
Project/Area Number |
14658250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 洋祐 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (60263258)
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Keywords | パニック障害 / クロモドメイン / 疾患モデルマウス / 遺伝子重複 |
Research Abstract |
パニック障害は日本人の1〜3%が罹患している神経症で、誘因なく驚愕反応が出現し、,心拍数の増加、動悸、窒息感、めまい、吐き気、下痢、発汗といった自律神経系の強い変化を伴う。近年、パニック障害の脆弱因子として15番染色体の一部の領域の遺伝子重複が報告されたが(Cell 106,367-379,2001)、この領域には既知のものでも50を超える遺伝子が存在している。本研究ではこの領域に存在し、パニック障害との関わりが報告されているinsular cortexで特殊な制御を受けている可能性のあるMRG15遺伝子(Neurosci. Res. 42,299-308,2002)の重複をこの障害の原因と考え、疾患モデルマウスの作製を試みた。マウスBACライブラリーよりMRG15遺伝子全体を含むクローンをスクリーニングし、得られたクローンをマウス卵に導入することによりMRG15遺伝子重複マウスの作製を試みた。現在までに胚操作後出生しトランスジーンのチェック可能なマウスが30個体得られたが、いずれもトランスジーンを持っていなかった。通常のトランスジェニックマウスに比べ、BACフラグメントを用いた場合は、胚操作後の出生率、トランスジーンを持つマウスの出現頻度がともに極端に低いことが知られているので、今後さらに胚操作を行っていく必要がある。非拘束下で心拍数を計測可能な慢性計測テレメトリーシステムのセットアップが終了しており、また情動行動に関する様々な解析を行う環境も整備されたので、目的とするMRG15遺伝子重複マウスの系統が確立できれば、これがパニック障害の疾患モデルマウスと成り得るか否かの検討はすみやかに遂行できる状態である。
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