2004 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚神経系の髄鞘形成グリア細胞がもつ神経再生促進機能の分子生物学的研究
Project/Area Number |
14658252
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (80164747)
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (00308280)
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Keywords | 髄鞘形成グリア細胞 / 嗅神経 / 軸索再生 / 中枢神経 / DNAマイクロアレイ解析 / マトリックスメタロプロテイナーゼ |
Research Abstract |
末梢神経に比べ中枢神経の軸索再生は困難である。しかし嗅覚ニューロンは日常的に死滅と新生を繰り返し、新生ニューロンからは新しい軸索が嗅脳に伸びてシナプスを形成する。この特殊な軸索再生能は髄鞘を形成するユニークなグリア細胞(olfactory ensheathing glia : OEG)が担っており、損傷後の脊髄に移植すると著明な軸索再生促進効果を示すことから医学的応用が強く期待されている。本研究はOEGのどのような性質(分子あるいは機能)がこの能力と関わっているのかを解明することにある。これまでにDNAマイクロアレイ解析でOEGに特異的な分子を見つけようとしたが純粋なOEGを十分量確保することは困難であった。そこで嗅脳組織のなかのOEGの分布密度の高い部位(Or)と低い部位(ニューロンの多い部位、Nr)を分離して採取し、両者の間でDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、マトリックスメタロプロテイナーゼ14(MMP14)とMMPの組織内阻害物質3(Timp3)の発現がOrで高くNrで低いことを見出した。培養OEGでもこれらの遺伝子は高い発現レベルで発現していた。そこで他のMMPも含めて純粋なOEGでの発現を調べたところMMP10がOEGにほぼ特異的に発現していることが判明した。MMPは28種類ものファミリー分子からなる細胞外エンドペプチダーゼ群であり、細胞移動や軸索伸長およびシナプス可塑性にも関与すると考えられている。そこで我々は、MMPとその阻害物質であるTimpの発現制御によってOEGの軸索ガイド能が調節されているのではないかという考えに到達した。 今後はMMPやTimp発現遺伝子やその発現阻害遺伝子をOEGのほかシュワン細胞やアストロサイトなどに導入し軸索ガイド能力への効果を調べることによりこの仮説を証明するべく努力する所存である。
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Research Products
(7 results)