磁界測定を用いた末梢神経障害の非侵襲的診断法の確立

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14658256
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 三森 甲宇 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10302861)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 四宮 謙一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20111594) ; 小森 博達 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60262169)
• Keywords: 神経磁界測定 / 超伝導量子干渉素子 / SQUID磁束計 / 等磁場線図 / 末梢神経誘発磁界 / 末梢神経 / 伝導障害 / 伝導ブロック

Research Abstract

【緒言】神経磁界測定は脳において臨床応用が進んでいるが、脊髄・末梢神経における障害部位の磁界変化についての基礎的研究はまだ少ない。本研究では摘出したウサギ坐骨神経を用いて、完全伝導ブロックモデルを作成し、磁界測定による伝導障害の診断について検討した。
【方法】対象は家兎より採取した坐骨神経10本。chamberにリンゲル液を満たし、水面から5mmの深さに摘出した神経を静置し、神経遠位端より吸引電極で電気刺激を行った(矩形波、5-15mA、0.01-0.02ms、10-30Hz)。神経を結紮糸で強く縫合することにより、完全伝導ブロックモデルを作成した。伝導障害作成の前後に磁界・電位測定を行った。電位測定は5mmもしくは10mm間隔で神経上と水面で行った。磁界測定は平坦型8チャンネルSQUIDセンサーを用い、神経から5mm離れた液面上で測定間隔7-10.5mm、sampling rate 40kHで測定し、2000-9000回加算を行った。得られた磁場より、細胞内電流を表す電流ダイポールの位置とモーメントを推定計算し、障害部の推定を行った。
【結果】全例で刺激側から伝搬する磁界が得られ、等磁場線図では四重極子パターンを呈する末梢神経誘発磁界が得られた。結紮部付近で先行する磁界のピークが消失し、障害部位を誤差2mm以下で推定可能であった。一方、神経上の電位測定では、結紮部付近で波形の変化や振幅の低下、伝導遅延を認め、測定間隔の範囲で障害部位を同定可能であったが、水面上の電位では同定は困難であった。
【考察】今回の実験では皮膚上での測定を模するため、神経より5mm離れた水面上で電位・磁界測定を行った。磁界測定では測定間隔以下の誤差で伝導障害部位を推定可能であり、完全伝導ブロックモデルでは高精度に推定可能であった。一方、水面上の電位測定では障害部位を詳細に同定するのは困難であった。

Research Products

• [Publications] Fukuoka Y, Kamori H, Kawabata S, Ohkubo H, Shinomiya K, Terasaki O: "Imaging of Neural Conduction Block by Neuromagnetic Recording"Clinical Neurophysiology. 113. 1985-1992 (2002)