2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作マウスからのin vivoパッチクランプ記録法の確立
Project/Area Number |
14658268
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20304884)
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Keywords | in vivoパッチクランプ / 脊髄後角 / 感覚受容体 / ノックアウトマウス / 痛覚 / 膠様質 / カプサイシン受容体 |
Research Abstract |
近年のカプサイシン受容体のクローニングに端を発し、温受容体、冷受容体をはじめとして、化学受容体のATPやセロトニンなどの感覚受容体の機能分子が急速に明らかにされてきた。また、発現系を用いた実験やノックアウトマウスの行動実験からその機能についてもある程度調べられてきたが、それらの受容体の末梢および脊髄の単一細胞レベルにおける生理機能については未だ明らかではない。スライス標本はそれらを解析する一つの手法であるが、皮膚への生理的刺激による解析は困難である。そこで、本研究はin vivoで脊髄後角細胞からの記録を行い、遺伝子操作された受容体の機能を明らかにすることを目的に開発を行った。マウスはラットと比較して小型であるため脊柱の固定と、長時間に亘って良好なコンディションを維持することが重要であった。まず、麻酔下に気管切開し人工呼吸とする。両側の気胸を行い、呼吸による脊髄の動きを極力抑えた。腰部での椎弓切除を行い、新たに開発したマウス用の脳脊髄固定装置にセットし、硬膜を切開後クモ膜に微細な針を用いて記録電極刺入のための窓を開けた。パッチ電極を約30度の角度で脊髄に刺入し、脊髄後角第二層の膠様質細胞からパッチクランプ記録を行った。記録細胞の同定は脊髄表面からの深さとneurobiotinを注入してその形態と局在から行った。皮膚に触および痛み刺激を加えると全ての記録細胞でEPSCが記録された。このEPSCはCNQXによって抑制された。次に熱刺激を加えたが、いずれの細胞でも応答は記録されなかった。後角浅層の細胞のみならずIII層以下の深層の細胞からも記録が可能であった。以上の結果から、新たに開発したin vivoパッチクランプ記録は、遺伝子操作マウスにおける受容体の生理学的および病態生理学的解析に有用であると考えられた。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Nakatuska T et al.: "Activation of central terminal VR1 receptors and abATP-sensitive P2x receptors reveals a converged synaptic activity onto the deep dorsal horn neurons of the spinal cord"Journal of Neuroscience. 22/4. 1228-1237 (2002)
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[Publications] Luo C et al.: "Anandamide inhibits excitatory transmission to rat substantia gelatinosa neurons in a manner different from that of capsaicin"Neuroscience Letters. 321. 17-20 (2002)
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[Publications] Matsumoto N et al.: "GABA-mediated inhibition of glutamate release during ischemia in substantia gelatinosa of the adult rat"Journal of Neurophysiology. (In press). (2003)
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[Publications] Kawasaki Y et al.: "α2 adrenoceptor-mediated presynaptic inhibition of primary-afferent glutamatergic transmission in rat substantia gelationsa neurons"Anesthesiology. (In press). (2003)
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[Publications] Yang K et al.: "Pre-and postsynaptic inhibition mediated by GABA receptors in rat ventrolateral periaqueductal gray neurons"Biochemical and Biophysical Research Communications. (In press). (2003)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "骨粗鬆症の痛みの発生とカルシトニンによる静痛作用"Clinical Calcium. 11・9. 1153-1157 (2002)
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[Publications] 伊藤 彰敏 et al.: "OVXラットにおけるエルカトニンの抗侵害受容(鎮痛作用)-エストロゲンとの比較-"Osteoporosis Japan. 10・2. 227-229 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "痛覚受容イオンチャネル-痛み刺激のコーディングとイオンチャネル-"医学のあゆみ. 201・13. 1171-1175 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄痛覚伝達系の可塑性-慢性炎症による痛覚過敏の発生機序-"医学のあゆみ. 203・1. 21-24 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "下行性痛覚抑制系とその可塑性"Clinical Neuroscience別冊. 20・10. 1122-1125 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄スライスおよびin vivoパッチクランプ法を用いた脊髄後角における痛覚伝達系の機能解析"麻酔. 51. S79-S88 (2002)
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[Publications] Lao L-J et al.: "Cellular mechanisms for the inhibition by adenosine of pain transmission in the spinal dorsal horn"Pain Research. 17・2. 63-68 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "痛みの脊髄機構"痛みと臨床. 2・3. 353-355 (2002)
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[Publications] 吉村 恵 et al.: "脊髄後角の可塑性と痛み"脳21. 6・1. 42-47 (2003)
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[Publications] 古江 秀昌 et al.: "脳機能の解明-生命科学の主潮流-"ガイア出版会. 570 (2002)
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[Publications] 片渕 俊彦 et al.: "脳機能の解明-生命科学の主潮流-"ガイア出版会. 570 (2002)