2002 Fiscal Year Annual Research Report
体内における人工心臓の駆動状態監視・制御方法の確立
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14658300
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
本間 章彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20287428)
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Keywords | 人工心臓 / 血液ポンプ / ダイアフラム / 超音波振動子 / 音速 / 伝播速度 / 駆動状態監視 / シリコーンオイル |
Research Abstract |
1.超音波センサー体型血液ポンプの製作 本研究では、シリコーンオイルによる油圧で血液ポンプのダイアフラムを駆動する「電気油圧駆動方式」全人工心臓を対象とした。超音波振動子を血液室側と油室側のハウジング外側面に対向するようにして設置した。長期にわたり安定して動作し、血液ポンプへの組み込みが可能な小型振動子の選定を行い、また超音波の送受信にとって最適なハウジングへの取付け位置の検討を行った。 2.模擬循環回路を用いた基礎特性評価 血液室側振動子から発せられた超音波が血液中とシリコーンオイル中を異なる伝播速度で透過して対向する油室側振動子に到達するまでの伝播時間を計測した。血液ポンプが血液で満たされる完全充満状態と、シリコーンオイルで満たされる完全駆出状態の両者の間で、伝播時間に0.020[ms]の差を認めた。伝播時間変化がダイアフラム位置を正確に反映しているのかどうか駆動圧波形から評価したところ、波形の形状から血液ポンプの駆出、充満状態の認識ができ、伝播時間の絶対値からその程度の計測が可能であることがわかった。また、模擬循環回路を用いて、拍動数および、駆出・充満状態の程度を変化させて血液ポンプを駆動し、伝播時間の変化幅とポンプ拍出量の関係について検討を行なった。左血液ポンプ(一回拍出量75〜80mL)を用いた60点の計測点において、伝播時間の変化幅×拍動数(30〜110[beat/min])と拍出量(1〜9[L/min])の間に相関係数0.97の良好な線形相関を得た。 本方法によって、拍動流ポンプのダイアフラムの位置計測、駆出・充満状態の認識や拍出量の推定を行ない得、人工心臓の駆動状態を直接モニタできる可能性が示された。今後、小型かつ体内への埋め込みが可能な回路の開発へ着手し、動物実験に移行可能な完成度の高いセンサー体型血液ポンプの完成を目指す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 本間章彦, 上村匡敬, 角田幸秀, 巽英介, 妙中義之, 高野久輝, 福井康裕: "超音波を利用した拍動流ポンプの駆動状態モニタの開発"第30回人工心臓と補助循環懇話会. March,15-16. 22 (2002)
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[Publications] 丹野大輔, 福井康裕, 本間章彦, 上村匡敬, 角田幸秀, 巽英介, 妙中義之: "超音波を利用した拍動流ポンプの駆動状態認識"人と福祉を支える技術フォーラム2002. A14 (2002)
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[Publications] A.Homma, T.Kamimura, Y.Kakuta, E.Tatsumi, H.Takano, et al.: "A New Monitoring Method of Diaphragm Positions of an Artificial Heart with Ultrasound Techniques"ASAIO Journal. Vol.48,No.28. 148 (2002)