2003 Fiscal Year Annual Research Report
形式操作の概念的理解を促進する操作手順の協調的再吟味方法
Project/Area Number |
14701003
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
白水 始 中京大学, 情報科学部, 講師 (60333168)
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Keywords | 協調学習 / 言語データ分析 / 内外相互作用 / 学習支援環境 / 相互吟味 |
Research Abstract |
本研究では、理数科目など構造のはっきりした分野の深い理解を促す方法を探究している。平成15年度は、分数計算の理解を促す-授業実践の詳細な分析、環境問題の理解を促進する学習支援環境の構築、正規分布の理解を促す-期全授業の継続的観察・分析の3点を行った。 1.6人の小学生が「折り紙の2/3の3/4を切り取る」という課題に対して、様々な解法の解が計算すれば同じになると見なすに至る45分間授業の全言動データを詳細に分析し、理解深化の過程とは、各自の内的な問題意識と仲間の解や教師のガイドなど外的なリソースとの相互作用によってより抽象的なまとめができていく過程であることを明らかにした(白水,2004)。 2.環境問題という現実の複雑な現象について、学習者の内的な問題意識を引き起こし、それとインターネット上の統計データなど外的なリソースとが相互作用して理解を深められる学習環境を構築した。WISEプロジェクト(http://wise.berkeley.edu/)のマネージャーJamess Slotta氏と連携して、当プロジェクトの学習支援電子掲示板の日本語への翻訳を行い、日本の中高生に実施し各国の中高生とやり取りさせながら、環境問題の各地での起き方についての理解を深めさせた(Slotta & Shirouzu,2003)。 3.上記のような一単元の単発的な学習支援だけでなく、長期継続的な授業の分析を何森仁氏の「確率論」を対象に行った。その結果、確率事象を多人数多数回試行によって再現する実験など、具体的な経験と、その経験の繰り返しによる確率事象(大数の法則など)への各学習者の関心の発生とが相互作用することで確固とした確率概念の理解が可能になることが分かった(三宅・白水,2003)。今後は各学習者が互いの理解深化過程を相互吟味し精緻化する工夫が必要である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 白水 始: "協調学習における理解深化過程の分析:発話を対象とした分析方法の提案"中京大学博士学位論文. (発表予定). 111 (2004)
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[Publications] 白水 始, 三宅なほみ: "認知科学を教えるデザイン実験"認知科学会第20回大会発表論文集. 417-418 (2003)
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[Publications] Miyake, N., Shirouzu, H.: "Learning through collaboration with diversity : Implementing constructive interaction in undergraduate cognitive science classes"25^<th> Annual Meeting : Cognitive Science Society. 25-26 (2003)
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[Publications] Miyake, N., Shirouzu, H., Miyake, Y.: "Teaching Cognitive Science Through Collaborative Reflection (1)"25^<th> Annual Meeting : Cognitive Science Society. 1384-1384 (2003)
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[Publications] Miyake, N., Shirouzu, H., Miyake, Y.: "Teaching Cognitive Science Through Collaborative Reflection (1)"Proceedings of EuroCogSci 03 : The European Cognitive Science Conference 2003. 419-419 (2003)
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[Publications] 三宅なほみ, 白水 始: "具体的事例を使って理論を学ぶ:10cm紙テープを切って正規分布が掴めるか"IASAI News. 12. 16-22 (2003)
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[Publications] 三宅なほみ, 白水始: "学習科学とテクノロジ"放送大学教育振興会. 211 (2003)
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[Publications] 白水始: "学習科学"放送大学教育振興会. 20 (2004)