2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本とイタリアにおける少子化と家族政策の比較社会学的研究
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14701004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田渕 六郎 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (20285076)
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Keywords | イタリア / 少子化 / 家族政策 / 国際比較 |
Research Abstract |
日本とイタリアの両国について、地方自治体(日本については県、イタリアについては県provinciaおよび州regione)を単位として、人口統計と家族政策に関するデータベースの作成を進めた。人口統計については、日本は国勢調査及び人口動態統計を、イタリアについてはセンサス及び統計局資料を利用して、1970年代以降の県別の出生率、性別年齢別有配偶者割合、女性有業者割合、家族構成などについてデータ整備を進めた。日本についてはデータの整備はほぼ完了したが、イタリアについては1970年代のデータ整備について今後の作業が必要である。 家族政策データとしては、保育に焦点をあてて定量的データセットの作成を進めた。日本については、厚生労働省の報告による保育所入所・待機児童数に関するデータと人口統計とを併合し、保育所のcoverageに関するデータ作成を進めたが、1980年代以前についてはまだデータ収集が完了していない。イタリアについては、州レベルの保育所のCoverageについての統計を収集し、県別のデータについては既存統計から部分的に入手できた州を除き、州の担当部局を経由してデータ収集を進めているところである。 本年度までの研究成果として、少子化動向について、日本とイタリアの諸地域について進めた分析結果からは、イタリアにおいては少子化の進行に関して無視できない地域差が見られることが確認された。更に、暫定的な分析結果からは、1990年代のイタリアでは、北部では出生率が低く若年女性労働力率が高いのに対して、南部では出生率は高く若年女性労働力率が低いという南北格差が見られるという知見が得られたが、これは同時期の日本でそうした関係は見られないことと対照的であった。
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