2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80296748)
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Keywords | 変分問題 / 非線形偏微分方程式 / 相分離 / 幾何学的測度論 / 非等方的 / 極小曲面 / 粘性解 / 正則性理論 |
Research Abstract |
ファセットなど非等方的な結晶構造を持つ2次元結晶成長モデルにおいて,結晶表面の進行速度が非等方的な表面張力と時間依存空間一様外力によって決定される場合を考える.この現象は非線形2階放物型偏微分方程式であるがその弱解は等高面法と粘性解理論を用いて構成されている.この構成法では時間的に移動する結晶面がある補助関数の等高面として表され,その補助関数のそれぞれの等高面が結晶成長を表す方程式を満たすように解くという手法を考えている.一方で,構成された補助関数は一般にはあまり正則性のある関数ではなく,等高面がもともと考えていた方程式の解になっているかどうかは極めて非自明である.14年度中の研究では特にファセットのある場合を考え,ファセットの数が2方向以下の場合には付随するいわゆるCahn-Hoffmanベクトルが一意にほとんどすべての場所で定義でき,ほとんどの等高面は測度論的な意味で期待される方程式を満たしていることが示された.この測度論的な意味の弱解の正則性については来年度以降の研究課題として取り組む予定である.また関連する研究課題として取り組んでいる等方的な表面張力がその分離の主原因となっている2相分離モデルのVan del Waalsモデルにおいて,領域が凸である場合には境界近傍においてもエネルギー比単調性が成り立つことを示すことが出来た(Indiana Univ. Math. Journalに来年度掲載予定).このことを用いてエネルギー安定な2相分離界面は連結であるという予想に貢献できた.
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Research Products
(1 results)