2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14702004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中家 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50314175)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ質量 / ニュートリノ振動 / シンチレータ |
Research Abstract |
本研究の主目的は、K2K実験(つくば-神岡間長基線ニュートリノ振動実験)でニュートリノ振動を観測し、ニュートリノ振動パラメータを測定することにある。特に、長基線加速器ニュートリノ実験の利点である「ニュートリノ質量」、正確には「ニュートリノ質量の二乗差」を精密に決定する。 平成16年度は本研究の最終年度にあたり、これまで収集された全データを解析してニュートリノ振動の証拠を4.0σの優位さで観測した。またニュートリノ質量二乗差をニュートリノ混合角が最大となる点(混合角=45°となる点)で、90%の確率で2.8^<+0.8>_<-0.9>×10^<-3>eV^2と決定した。この測定は、スーパーカミオカンデの大気ニュートリノ測定と同精度で、現時点でもっとも精密な測定である。 また本研究では、平成15年度に建設した新型前置ニュートリノ検出器(SciBar検出器)で収得したデータを解析し、様々なニュートリノ反応の研究を遂行した。特に、ニュートリノ振動解析のインプットとして必要な生成時点でのニュートリノエネルギースペクトラムを、荷電カレント準弾性散乱事象を効率的に選択し高精度で測定した。併せて、ニュートリノ振動解析においてバックグラウンドとなる、非弾性散乱事象の生成断面積を5%の精度で測定し、精密なバックグランド評価を行った。 さらにSciBar検出器のデータを詳細に解析して、低エネルギーニュートリノ・原子核反応で謎であった「前方ミューオン事象の欠損」が荷電カレントコヒーレントπ生成反応の断面積が予想より小さいためであることを発見した。荷電カレントコヒーレントπ生成反応の探索を行い、1GeVニュートリノにおいては生成断面積が理論で予想される25%以下であることも測定した。
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Research Products
(6 results)