2004 Fiscal Year Annual Research Report
近低温・極超高分解能角度分解光電子分光による電子‐フォノン超伝導体の電子状態
Project/Area Number |
14702010
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
横谷 尚睦 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・軟X線チーム, チームリーダー 主幹研究員 (90311646)
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Keywords | 超高分解能光電子分光 / 超伝導体 / 電子・フォノン結合 / 超伝導ギャップ異方性 / ネスティング / 放射光光電子分光 / ダイアモンド超伝導体 |
Research Abstract |
近低温・極超高分解能光電子分光およびSPring-8を用いた軟/硬x線を使った光電子分光により電子-フォノン超伝導体および新超伝導体の電子状態の研究を行った。コバルト酸化物超伝導体の近低温・極超高分解能光レーサー光電子分光を行い、超伝導転移温度より上の温度でフェルミ準位近傍に超伝送ギャップとはエネルギースケールの異なる擬ギャップが形成されることを見いだした。この結果は、低温において超伝導とは別の秩序変数の存在を示す。また、超伝導転移温度前後で超伝導ギャップ形成に伴うスペクトル形状の変化を観測し、s-波とd-波を用いた解析からギャップの大きさを見積もった。YNi_2B_2Cの角度分解光電子分光測定を更にすすめ、バンド分散、フェルミ面形状、超伝導ギャップの運動量依存性を詳細に研究した。超伝導ギャップの運動量依存性研究からは、大きな超伝導ギャップ異方性を観測するとともにpoint-nodeと一致する結果を得た。また、大きな異方性とフェルミ面のネスティングとの関連を考察した。新超伝導体Li_2Pd_3Bの放射光光電子分光測定からは、Li_2Pd_3Bの電子状態が一電子近似でよく説明できることを確認した。これは、理論的に予想されていた強電子相関効果と反する結果である。CVD B-dope diamond薄膜の放射光光電子分光測定を行い、内殻準位スペクトルの測定から、B-dopeに伴うClsピーク0シフトと低結合エネルギー側に新構造が出現することを見いだした。軟x線角度分解光電子分光測定からは、ダイアモンドのバンド分散を観測するとともに、ダイアモンドバンドがフェルミ準位を横切ることを見いだした。この結果は、ダイアモンドバンドに形成されたホールがフォノンと強く結合することにより超伝導が発現することを示す。
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Research Products
(6 results)