2002 Fiscal Year Annual Research Report
光格子を用いる超高精度ストロンチウム原子光周波数標準の研究
Project/Area Number |
14702013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香取 秀俊 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助教授 (30233836)
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Keywords | 光周波数標準 / 光シフト / 光格子 / ラム・ディッケの領域 / クロック遷移 / 超高安定化レーザー光源 / ハイパーポラライザビリティー |
Research Abstract |
超高精度な光周波数標準計測実現のための新しい手法として,光シフトをキャンセルする光格子にトラップした中性原子の利用を提案する。原子をラム・ディッケの領域にトラップすると同時に,原子間の衝突を阻止するために3次元の光格子を用いる。この際,トラップレーザー光の偏光に対する光シフトの依存性を無くすために,テンソル・シュタルクシフトを生じない光学遷移^1S_0-^3P_0遷移をクロック遷移として用いる。この実現のため核スピンを持つストロンチウム原子同位体^<87>Srを用いて実験を行い,超微細相互作用による波動関数の混合によって生じる有限の遷移寿命(150秒)を利用する。この遷移のQ値は10^<17>にも及ぶ。本年度の研究項目は次の通り。 1.光シフトをキャンセルする光格子による^<87>Sr原子のトラップ DMOT手法を用いて^<87>Sr原子の2段階冷却を行い,波長800nmのレーザー光による1次元光格子でおよそ10^5個の原子トラップを行った。この原子に対し^1S_0-^3P_0遷移の分光を行い,50%以上の原子のクロック遷移励起を確認した。 2.分光用超高安定化光源の開発 半導体レーザーをベースとして,超低膨張率(ULE)ガラスを用いた高フィネス光共振器への電気的負帰還による安定化を行い,クロック遷移分光用に必要な超高安定化レーザー光源を開発した。 3.光クロック遷移計測の安定性評価(理論) Vitaly Pal'chikovらとの共同研究により高次のハイパーポラライザビリティー等の寄与を計算し,それらを1mHz以下に抑えられることが判明した。この結果,本提案により最終的に到達可能な精度は10^<-17>となる。
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