Research Abstract |
本研究では,38億年前のグリーンランドIsuaのAmitsoq片麻岩(gneiss),縞状鉄鉱層(BIF),35億前の西オーストラリアのいくつかのBIF,チャート(chert),34・28億年前のインドのBIFなど,38億年前から25億年前にわたる,世界各地のgneiss,BIF,chertのレニウム(Re),オスミウム(Os)同位体比を分析することによって,未だよくわかっていないArcheanの大陸地殻がいつ頃,どのように誕生し,その後どのように進化してきたかということに関して情報を得ることを目的とする。これらの試料中のRe,Os濃度は低く,分析環境からの汚染を下げることが必要であったが,メタルフリーのクリーンベンチの導入で,ブランク値はOsで2pg,Reで7pgまで下がり,今回の分析に問題がないレベルに達した。既に,オーストラリアPilbaraのチャート7試料について分析を終え,以前の3試料のデータと合わせて,解析を進めているところでるが,35億年前に進化した大陸地殼が存在したことを明らかに示す結果となっている。一方,38億年前のIsuaのBIF,チャートについても分析を終了し,現在解析中である。また,IsuaのAmitsoq片麻岩に関しては,試料提供者からまもなく試料を送付してもらうことになり,また,34・28億年前のインドのBIFも分析準備が整った。来年度は,これらの分析をすべて終える予定である。それによって,進化した大陸地殼が太古代に地球上に普遍的に存在したか否かについて,明確な情報を提出することが可能になるであろう。
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