2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフラクトグラフィーに基づくセラミックスのき裂-微構造相互作用の解析
Project/Area Number |
14703014
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多々見 純一 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (30303085)
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Keywords | ナノフラクトグラフィー / セラミックス / 走査型プローブ顕微鏡 / 微構造 / 窒化ケイ素 / 窒化アルミニウム / サイアロン / 破壊 |
Research Abstract |
本研究は、これまでのセラミックスの破壊と先進セラミックスの微構造制御に関する研究成果を活かして、セラミックスの破面のナノ〜原子スケールの観察(ナノフラクトグラフィー)を行うことにより、粒内および粒界破壊靭性の発現メカニズムやセラミックスの疲労メカニズム等を明らかにすることを目的としたものである。本年度は、まず、ナノフラクトグラフィーを評価するための各種測定モードを有する走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)を調整した。さらに、各種先進セラミックスの作製、微構造と特性およびナノフラクトグラフィーの評価を行った。 Ca-αサイアロンナノセラミックスにおいて、酸による腐食前後の破面のSPM観察を行った。その結果、腐食以前には破面にミクロレベルでは平坦なうねりしか存在していなかったのに対して、腐食後には典型的な粒界破壊が観察され、表面のSPM観察では分からなかった粒界腐食の進行が確認された。この現象は、従来の破面観察手法である走査型電子顕微鏡でも確認できなかった。 AlNセラミックスでは、SPMの測定モードの一つであるVE-AFM観察において、AlNと第二相であるイットリウムアルミネートで異なる像が得られることを明らかにした。これは、次年度に行うナノフラクトグラフィーの評価・解析において有用な情報を得る手段となると考えられる。 TiN粒子分散Si_3N_4セラミックスおよびソーダライムガラスにビッカース圧子を圧入し、導入されたき裂のSPM観察を行った。その結果、特にTiN粒子分散Si_3N_4セラミックスにおいて不連続なき裂進展が観察され、粒子架橋している領域で表面の凹凸が確認された。また、き裂先端ではき裂進展の素過程であると考えられる未破壊の微小量の凹部も観察された。これらの情報は次年度以降に行う破面観察において重要な知見となると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Terao, J.Tatami, K.Komeya, T.Meguro: "Fracture behavior of AlN ceramics with rare earth oxides"Journal of European Ceramic Society. 22巻・7号. 1051-1059 (2002)
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[Publications] J.Tatami, R.Terao, T.Meguro, K.Komeya: "Fracture behavior of A1N ceramics with various rare earth oxide addition"Austceram 2002 Proceedings. 211-212 (2002)
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[Publications] J.Tatami, M.Iguchi, M.Hotta, C.Zhang, K.Komeya, T.Meguro, M.Omori, T.Hirai, M.E.Brito, Y.B.Cheng: "Fabrication and Evaluation of Ca-α SiAlON Nano Ceramics"Key Engineering Materials. 237. 105-110 (2003)
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[Publications] 上脇聡, 井口もえ木, 堀田幹則, 多々見純一, 目黒竹司, 米屋勝利, 大森守, 平井敏雄: "Ca-αサイアロンセラミックスの耐食性評価"日本セラミックス協会2003年年会予稿集. 250 (2003)
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[Publications] S.Suzuki, J.Tatami, K.Komeya, T.Meguro, A.Azushima, D.K.Kim: "Contact damage behavior of PVD-TiN coated Si_3N_4 ceramics"Extended Abstract of International Conference on the Characterization and Control of Interfaces for High Quality Advanced Materials. (発表予定).
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[Publications] J.Tatami, Y.Yamamoto, K.Komeya, T.Meguro: "SPM study of the fracture behavior in ceramics"Proceedings of PacRimIV. (発表予定).