2003 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質の長期酸化防止を可能とする抗酸化剤高速再生サイクルの設計
Project/Area Number |
14703019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00261503)
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Keywords | 生理活性物質 / 抗酸化剤 / 酸化防止 / β-カロチン / ビタミンE / ビタミンC |
Research Abstract |
本研究は、脂溶性抗酸化剤ビタミンEと水溶性抗酸化剤ビタミンCの共存系にさらに両親媒性抗酸化剤カテキンを複合させた新規な酸化防止法を確立することを目的としている。昨年度は、界面積既知の油水二相系においてビタミンEとC共存下で生理活性物質β-カロチンの酸化実験を行い、酸化防止期間が最大となる抗酸化剤添加条件を明らかにした。本年度は、まず、油水二相系における各抗酸化剤単独添加条件でのカロチンの酸化モデルを構築した。ビタミンE単独添加時では、水相の存在によってビタミンEの消費が抑制され、その結果、カロチン酸化の抑制期間が油相のみの系よりも長くなることから、ビタミンE自身の酸化によって生じた極性の高い連鎖成長ラジカルが油相から水相に移動し除去されることを考えたモデルを構築した。このモデルは、種々の抗酸化剤濃度および油水界面積条件でのカロチンの酸化挙動を表現できた。一方、ビタミンC単独添加時では、ビタミンCの有無にかかわらずカロチンの酸化挙動が変わらないことから、油相でのカロチン酸化と水相でのビタミンC酸化が独立して起こっていると考え、水相への酸素の物質移動を考慮したモデルを構築した。このモデルは、種々の抗酸化剤濃度でのカロチンの酸化、およびビタミンC自身の濃度変化を表現した。次に、カロチンが存在しない油水二相系において、ビタミンEとC間で生じる反応に着目するため、同様の酸化実験を行った。そして、水相のビタミンCの存在によって、油相のビタミンEの消費が抑制されていることから、油水界面においてビタミンE酸化の連鎖成長ラジカルとビタミンCとの抗酸化反応が生じていると考えたモデルを構築した。このモデルは、種々のビタミンC濃度条件下でのビタミンEおよびC濃度の経時変化を良好に表現できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Takahashi et al.: "A Rigorous Kinetic Model for β-Carotene Oxidation in the Presence of an Antioxidant α-Toconherol"Journal of American Oil Chemists' Society. 80. 1241-1247 (2003)
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[Publications] 北川尚美ら: "脂質溶媒と抗酸化剤が共存する実用系でのβ-カロチンの酸化速度論"FOOS & FOOD INGREDIENTS JOURNAL OF JAPAN. 209. 124-131 (2004)
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[Publications] N.Shibasaki-Kitakawa et al.: "Oxidation Kinetics of β-Carotene in Oleic Acid Solvent with Addition of an Antioxidant, α-Tocopherol"Journal of American Oil Chemists' Society. (in printing). (2004)
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[Publications] A.Takahashi et al.: "Lipid Oxidation Pathway-Chapter 5 "Kinetic Analysis of β-Carotene Oxidation in a Lipid Solvent With or Without an Antioxidant(Editor Afaf Kamal-Eldin)"AOCS Press. 323(111-137) (2003)