2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物のバイオコンバージョン:フッ素脱離・導入の酵素触媒機構と応用
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14703021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70243087)
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Keywords | フルオロ酢酸デハロゲナーゼ / 有機フッ素化合物 / 脱ハロゲン / 2-ハロアクリル酸レダクターゼ / 有機ハロゲン化合物 / 不斉還元 / Burkholderia / 2-クロロプロピオン酸 |
Research Abstract |
1.フルオロ酢酸デハロゲナーゼの構造と機能 フルオロ酢酸デハロゲナーゼはフルオロ酢酸の加水分解的脱ハロゲン反応を触媒し、グリコール酸を与える。脂肪族フッ素化合物の強固な炭素-フッ素結合の切断を触媒する唯一の既知酵素である。本酵素はフルオロ酢酸を最も良好な基質とするが、クロロ酢酸にも、その4%の活性を示す。本酵素反応では、触媒中心アスパラギン酸残基の側鎖カルボキシル基が基質のα-炭素を求核攻撃し、ハライドイオンが脱離するとともに、酵素と基質が共有結合したエステル中間体が生成する。続いてヒスチジン残基が活性化した水分子によって中間体が加水分解され、グリコール酸が遊離するとともに、触媒中心アスパラギン酸残基が再生する。本研究では、Burkholderia sp.FA1が生産する本酵素の構造と機能を解析した。結晶構造解析によって活性部位に存在することが示されたアミノ酸残基を部位特異的変異法で改変し、触媒能への影響を調べた。触媒中心のAsp104、His271のほか、これらの近傍に存在するArg105、His149、Arg108、Tyr147、Phe34、Tyr212、Phe272、His103をアラニン残基に改変すると、フルオロ酢酸とクロロ酢酸のいずれに対する活性も消失した。一方、Trp150をアラニン残基に改変した酵素では、クロロ酢酸に対する活性は野生型酵素の71%残存したにもかかわらず、フルオロ酢酸に対する活性は完全に消失した。Trp150はフッ化物イオンの脱離に必須の役割を果たすことが示された。 2.2-ハロアクリル酸レダクターゼの発見と機能解析 2-クロロアクリル酸資化性菌Burkholderia sp.WSが、NADPHを還元剤として2-ハロアクリル酸の不斉還元を触媒する新奇酵素2-ハロアクリル酸レダクターゼを生産することを明らかにした。本酵素と補酵素再生系を組み合わせることにより、除草剤の原料として有用な(S)-2-クロロプロピオン酸を効率よく生産することに成功した。
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Research Products
(5 results)