2003 Fiscal Year Annual Research Report
水中不均一反応場での加速現象を利用した超高効率反応の開発
Project/Area Number |
14703026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50281100)
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Keywords | 水中反応 / 不均一反応 / 反応加速 / 遷移金属触媒 / 高希釈 / 二相系 / 大員環合成 / ロジウム触媒 |
Research Abstract |
有機化合物の多くが水に溶けにくいことに注目し、水と有機溶媒からなる二相系における濃度制御を利用した反応を開発することができた。水-有機溶媒二相系においては、有機基質の水相と有機相との分配により有機物は有機相に優先的に存在するため水相での有機物の濃度が低くなる。このとき水相で反応を行えば希薄な条件下で反応を行うことが可能となると考えた。そして、実際に、水-エーテル二相系においで水溶性ロジウム触媒によるアルキンの環化三量化反応を用いて、中員環・大員環化合物を効率良く合成することに成功した。本手法により大量の溶媒を用いることなく高希釈条件を簡便かつ経済的に実現できる。「有機化合物を溶かしにくい」という水の特徴的な性質は、これまで水中で有機反応を行うにあたってはデメリットであると考えられてきたが、これを逆に積極的に活用することができたと考えている。 さらに、水-有機溶楳二相系反応場において、二つの有機基質間の水に対する溶解度の差を利用した高選択的反応を開発した。疎水性ジインの濃度を制御することにより、ジイン同士の二量化を起こすことなく水溶性アルキンと疎水性ジインの選択的交差環化反店を達成した。二相系での触媒反応は生成物の分離や触媒のリサイクルを主眼としてこれまで研究されてきているが、基質濃度制御や高選択的反応など二相系の反応場としての新しい側面を提示した点も大きな成果である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hidenori Kinoshita: "Rhodium-Catalyzed [2+2+2] Cycloaddition in an Aqueous-Organic Biphasic System"J.Am.Chem.Soc.. 125・26. 7784-7785 (2003)
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[Publications] Takayuki Tsuritani: "Et_3B-Induced Radical Addition of N,N-Dichlorosulfonamide to Alkenes and Pyrrolidine Formation via Radical Annulation"I.Org.Chem.. 68・8. 3246-3250 (2003)
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[Publications] Junichi Kondo: "Consecutive Double 1,2-Migration of Two Different Groups in Silyldichloromethylcuprates"Angew.Chem., Int.Ed.. 43・1. 106-108 (2004)
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[Publications] Takayuki Tsuritani: "Base-Induced Condensation of α-Chloro Oxime Derivatives Furnishes Alkynes"Angew.Chem., Int.Ed.. 42・45. 5613-5615 (2003)
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[Publications] Kazuya Fujita: "Highly Diastereoselective Tandem Reduction-Allylation Reaction of 1,4-Diketones with Zirconocene-Olefin Complexes"Angew.Chem., Int.Ed.. 42・22. 2550-2552 (2003)
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[Publications] Kazuaki Takami: "Triethylborane-Mediated Hydrogallation and Hydroindation : Novel Access to Organogalliums and Organoindiums"J.Org.Chem.. 68・17. 6627-6631 (2003)