2003 Fiscal Year Annual Research Report
剛直な分子骨格の特性を活かした典型元素化合物の構築と機能発現
Project/Area Number |
14703027
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河内 敦 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70260619)
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Keywords | 剛直骨格 / 典型元素 / シラノルボルナジエン / シリレン等価体 / ホスホニウムイリド / 5配位ケイ素化合物 / 1,4-シリル転位 |
Research Abstract |
(1)シリレンの前駆体として有用な7-ヒドロ-7-シラノルボルナジエンのケイ素原子上の官能基変換について検討をおこなった。既知の方法にしたがい,o-ブロモフルオロベンゼンとマグネシウムとから発生させたベンザインを系中でヒドロシロールと反応させることで,7-ヒドロ-7-フェニル-7-シラノルボルナジエンを合成した。同様の方法で,メシチル置換体を合成した。ケイ素原子上の水素原子は塩化パラジウム存在下,四塩化炭素との反応により塩素原子へと良好な収率で変換することができた。得られたクロロシランにリチウムナフタレニドをTHF中,低温で作用させると,シリルリチウムが生成した。このシリルリチウムはクロロトリメチルシランと反応し,ジシランを与えた。7-シラノルボルナジエンのケイ素上をリチオ化する方法を開発したことにより,ケイ素上へ様々な求電子剤を導入することが可能になった。 (2)高配位ケイ素化合物合成の新たな配位子としてホスホニウムイリドに注目し,同一分子内にケイ素原子置換基とホスホニウムイリドを有する化合物の合成を検討した。(2-トリメチルシリルフェニル)ジフェニルホスフィンにヨウ化メチルをTHF中で反応させることにより,対応するホスホニウム塩を合成した。このホスホニウム塩に塩基を作用させることによりホスホニウムイリドの発生をおこなったところ,ベンゼン環上のシリル基がイリド炭素上へと転位した新たなホスホニウムイリドが生成した。このシリル基の転位は,初めに生成したホスホニウムイリドにおいて,イリド炭素がケイ素原子に分子内配位することによってケイ素-sp^2炭素結合が活性化されたためであると考えられる。本反応は1,4-シリル転位の新しい例である。
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