2002 Fiscal Year Annual Research Report
親水性セルロース繊維ネットワーク表面のフラクタル解析による紙の超撥水化機構の解明
Project/Area Number |
14703030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90304766)
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Keywords | セルロース基質 / 疎水性サイズ分子 / Al酸化物アンカー / カチオン性高分子 / 界面相互作用 / サイズ性応答機構 / 原子間力顕微鏡 / 非共有結合の化学 |
Research Abstract |
バイオマス資源のマテリアル循環を念頭に置いたセルロースの材料機能学的研究として、親水性のセルロース繊維からなる紙に、極微量の疎水成分を用いた表面改質処理により、相反する性質である撥水性(サイズ性)を付与する紙のサイズ性発現メカニズムの解明を試みた。 1.XPSによる紙表面のキャラクタリゼーションとサイズ性応答機構の解明 ロジン酸や脂肪酸を用いたサイズ処理では、硫酸アルミニウムやカチオン性高分子が不可欠であるが、紙中のサイズ分子の構造変化はなく、化学反応とは別の支配因子が示唆されている。そこで、撥水現象に直接関与している紙表面のサイズ成分を、X線光電子分光法(XPS)と熱分解GCを組み合わせた新規な評価法により検討した結果、(1)紙中のサイズ成分量は必ずしもサイズ効果を反映しない、(2)アンカーカチオンの内添により、表面のサイズ成分検出量が増加する、(3)類似構造のサイズ分子の混合によっても(2)と同じ効果が得られ、その傾向は紙のサイズ性と高い相関がある、(4)XPS検出量の増加はシート表面におけるサイズ成分のヘテロな分布ではなく、微小なサイズ成分の凝集抑制効果の結果として表れている可能性が高い、などの知見が得られた。 2.セルロースモデル膜の調製と界面相互作用力の測定 セルロース/NMMO-水溶液をスピンコートすることで、ナノフラットなセルロースモデル膜を調製した。析出貧溶媒を変えることで、異なるフラクタル次数を有する凹凸面を得ることが出来た(検討中)。次に、Auコートプローブをアルキル基またはカルボキシル基で化学修飾し、原子間力顕微鏡を用いて分析した結果、(1)セルロース基質とアルキル基/カルボキシル基との間に特別な相互作用はない、(2)Al酸化物表面とカルボキシル基の間で働く凝着力はアルキル基との作用力の2倍以上あり、「非共有結合」的相互作用力が紙のマクロなサイズ性応答に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)