2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学・染色体工学的手法を用いた高等脊椎動物のセントロメア形成機構の解明
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14704002
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
深川 竜郎 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (60321600)
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Keywords | セントロメア / DT40細胞 / CENP-A / CENP-I / Nuf2 / ZW10 / 染色体分配 / チェックポイント |
Research Abstract |
生物が生命を維持するためには、ゲノム情報を包括する構造体である染色体が安定に保持・増殖されなければならない。正常な細胞では、ほぼ決まった時間周期でゲノムの複製と分配が正確に行われる。染色体複製・分配のような基本的な生体反応に狂いが生じると染色体の異数化、がん化など細胞に対する悪影響が生じる。したがって、染色体複製や分配の正確な分子機構を解明することは、遺伝学における本質的な課題の一つである。我々は、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアの機能解析を行っている。本研究では、哺乳類細胞の数十から数百倍の頻度で相同組換えが起こるニワトリDT40細胞を用いて各種セントロメアタンパク質のノックアウト解析法を通じて、高等脊椎動物のセントロメアの形成に関する分子機構の理解を目指している。本年度は、CENP-A、CENP-1/Mis6、Nuf2、ZW10、に加えて、生化学的にZW10と相互作用することが見つかったZW250を対象にノックアウト解析を試みた。CENP-A、CENP-1/Mis6、Nuf2、ZW10に関しては、ノックアウト株の樹立に成功し、ZW250は1アリルのノックアウトが終了したところである。CENP-Aのノックアウト細胞の解析の結果、細胞分裂時期のみならず、間期にも異常が生じることが明らかになった。また、CENP-A欠損細胞で、CENP-C,-H,-Iの局在異常が認められた。NuΩのノックアウト細胞は、約450分の細胞分裂の遅延が起きた後、次の細胞周期に進行することなく死滅した。Nuf2の欠損した染色体のセントロメアにはCENP-C、-H、-Iが存在していた。また、Nuf2がMad2と直接結合することが明らかになったが、ノックアウト細胞でBubRlの局在異常は認められなかった。Nuf2の欠損細胞における細胞分裂遅延は、チェックポイント依存的であるため、BubRIの活性化がその要因の一つであると考えられた。他のノックアウト株の表現型の解析を現在進めている。
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[Publications] Ai Nishihashi: "CENP-I is essential for centromere function in vertebrate cells"Developmental Cell. Vol.2. 463-476 (2002)
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[Publications] Jenny M. Spence: "Co-localisation of Centromere Activity, CEN Proteins and a Topoisomerase II Cleavage Site to a fixed region of limited extent within the Human X α-satellite Locus DXZ1"The EMBO Journal. Vol.21. 5269-5280 (2002)
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[Publications] Tomoko Hayashi: "Ubc9 is essential for viability of higher eukaryotic cells"Experimental Cell Research. Vol.280. 212-221 (2002)
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[Publications] Mizuki Ohno: "Triplex-forming DNAs in the human interphase nucleus visualized in situ by polypurine/polypyrimidine DNA probes and antitriplex antibodies"Chromosoma. Vol.111. 201-213 (2002)
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[Publications] 深川竜郎: "染色体と細胞骨格の接点:キネトコア"細胞工学. 22巻・3月号. 267-271 (2003)
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[Publications] 深川竜郎: "動物細胞のM期での動態の可視化"遺伝子医学. (印刷中). (2003)
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[Publications] Eiichiro Sonoda: "International Congress Series 1246 "Generation and Phenotype Analysis of Conditionally Inactivated Mutant cells""Elsevia Science. 19 (2002)