2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症における血管透過性亢進の分子メカニズムの解明と新治療法の確立
Project/Area Number |
14704045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴間 潔 京都大学, 医学研究科, 助手 (80335265)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管透過性亢進 / 酸化ストレス / Akt / PI3-kinase / JNK / ephrin |
Research Abstract |
血管の分化と成熟に関係していると考えられているAngiopoietin1(Ang1)は血管内皮細胞特異的に発現しているチロシンキナーゼ型受容体Tie2に結合して働くが、遺伝子改変マウスではAng1を過剰発現すると種々の刺激による血管透過性の亢進が著明に抑制されると報告された(Science 1999:286:2511,Nat Med 2000:6:460)。この時点ではTie2下流の細胞内シグナルが如何にして血管透過性の亢進に対して抑制的に働くかは全く不明であった。研究代表者はそのメカニズムを解明し、糖尿病網膜症における視力低下の主因である網膜血管透過性亢進の治療に応用するため研究を開始した。PI3-kinase Akt経路はインスリンシグナルでは非常によく研究されており生体内では最も重要な経路の一つである。我々はAng1がこの経路を他の増殖因子とは比較にならないほど強く且つ持続的に活性化することを確認した。次に糖尿病では生体内で酸化ストレスが亢進するため、細胞のアポトーシスに関係するストレス感受性MAP-kinaseの一つであるJNKが酸化ストレスにより活性化すること、Ang1によりそのJNKの活性化が抑制され、そのAng1の効果がPI3-kinase Akt経路を介して起こり最終的に細胞死が抑制されることを証明した。酸化ストレスによる血管細胞障害は網膜症をはじめとする糖尿病血管合併症の主因と考えられていることからAng1の治療薬としての可能性が示された(J Biol Chem投稿中)。また別の経路として血管の動静脈分化に関係すると考えられているephrinのシグナルが血管内皮増殖因子(VEGF)誘導性の血管透過性亢進を抑制することを見出した(Diabetes投稿中)。
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Research Products
(4 results)