2003 Fiscal Year Annual Research Report
シャーマニズムと精神分析における後継者育成のシステムと理論についての比較研究-口頭伝承論の観点から精神分析を研究する試みを中心に-
Project/Area Number |
14710013
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
内田 順子 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助手 (60321543)
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Keywords | シャーマニズム / 精神分析 |
Research Abstract |
本研究は、エクスタシーをその実践と理論の核とするシャーマニズムとラカンの精神分析について、口頭伝承論の観点から、後継者育成のシステムと理論を中心に比較研究し、次のことを明らかにすることを目的としている。すなわち、エクスタシーが後継者の育成にどのように関わるのかについて、精神分析とシャーマニズムそれぞれがどのような理論を有し、かつ実践としてはどのように行っているのか、類似と相違を具体的・実証的に明らかにする。そして、「ことば」では伝達され得ないものを、いかにして後継者に伝達しようとしているのか、また実際にそのようなことがどこまで可能なのか、シャーマニズムと精神分析の可能性と限界について明らかにする。 平成14年度におこなった調査・研究において、民族学者であり詩人・作家でもあるミシェル・レリスの存在が、精神分析とシャーマニズムを横断する理論の構築に深く関わっていることが明らかになり、本年度は引き続き、レリスの論における「伝達」をめぐって、シャーマニズムがいかなる価値を与えられているのかについて調査・研究を進め、1920年代から30年代におけるシュールレアリスムと関わりながら展開した精神分析と民族学との接近におけるレリスの果たした役割が明らかになった。また、精神分析家の養成については、ユング研究所(チューリッヒ)およびタヴィストックセンター(ロンドン)を中心に資料収集をおこない、精神分析と宗教の問題について、近年、ユング派とフロイト派との歩み寄りが見られる状況が明らかになった。
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Research Products
(1 results)