2004 Fiscal Year Annual Research Report
フローベルガーがバッハ等後世の作曲家達に与えた影響力を伝承経路の観点から量る-最近ドレスデンで発見されたフローベルガー作品の写譜を中心に
Project/Area Number |
14710022
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 明 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (00317273)
|
Keywords | フローベルガー / ベルリン・ジングアカデミー / 鍵盤音楽 / バロック音楽 / 17世紀の音楽 / バッハ / ヴェックマン / マッテゾン |
Research Abstract |
平成16年度は、この年度の研究の要として、アメリカのエール大学所蔵による、17世紀中期に主にドイツ・ハンブルグで活躍したオルガニスト、マティーアス・ヴェックマンの手によって複写されたフローベルガーの写譜(New Haven, CT, Yale University Music Library, Music Deposit 3 [Ms.Ma.21.H.59])の詳細な検証を所蔵先で行った。この写譜と、昨年度調査した、2003年にその存在が公表され、フローベルガー研究に今後多大なる新情報をもたらすことが期待されている、フローベルガーの作品21曲を収めた、17世紀後期に複写された写本(Berlin, Staatsbibliothek-Preussischer Kulturbesitz, Archiv der Sing-Akademie zu Berlin, SA4450)との間には、共通する事項が多く見られ、フローベルガーとヴェックマンとの親交関係を裏付ける資料となっている。両作曲家の交友関係は、18世紀に入ってからヨハン・マッテゾンによって報告されているが、親交の結果、ヴェックマンが、どの種類の、そしてどのくらいの数のフローベルガー作品を、どのような形で作曲家から入手していたかということは、マッテゾンの証言からは不明であった。またマッテゾンは、フローベルガー作品の写譜を所有していたことが彼の証言から窺えるが、それらとヴェックマンが所有していた写譜との関係は、これまでの研究ではまったく確立できなかったが、今回の調査によりこれがある程度判明した。これにより、18世紀初期においてのフローベルガー作品の伝承事情がより明確となった。
|