2002 Fiscal Year Annual Research Report
リスク認知における情動反応とリスク対処行動との関係分析
Project/Area Number |
14710036
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増地 あゆみ 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (00322777)
|
Keywords | リスク認知 / 情動反応 / リスク情報の表現形式 / 確率表現 / 頻度表現 |
Research Abstract |
本年度は、リスクの認知過程において情動反応を引き起こし、リスク認知の高低に影響を及ぼすと考えられる要因のうち、リスク情報の表現形式に注目して研究を行った、実験では、ある飲料の摂取に伴う胃がんの発生リスクに関する情報を7通りの表現形式で伝え、情報の受け手が胃がんの発生リスクをどのように評価し、その後の対処行動としてどのような行動を選択するかを調べた。リスク情報の表現形式7条件は、飲料の摂取群における胃がん発生リスクの表現が確率(5%)か頻度(100名中5名)か、飲料を摂取していない対照群の胃がん発生リスク(1%,100名中1名)を同時に示すかどうか、2群のリスクの違いをリスク比(5倍である)として示すかどうかによって異なっていた。実験の結果、もっともリスクが高く感じられたのは、「リスク比のみ」伝えられた条件であった。また、リスク源を回避する行動(二度と飲まない、飲む回数を減らす)を選択する割合が最も高かった。先行研究(Slovic, et al.,2000)では、リスクの確率表現と頻度表現の違いについて、頻度表現の方がリスクをより高く感じさせると報告している。この違いについて本研究では、同じリスク情報でも、確率表現と頻度表現では、その主観的評価過程において生じる情動反応の強さが異なり、頻度表現では胃がんが生じた個々の事例を思い浮かべてイメージされるために、確率表現に比べて強い恐怖や不安が生じるという仮説をたて、これを検証した。本研究の結果では、頻度と確率の違いは明確に示されなかったが、単にリスクは5倍であるという表現によって、リスクの主観的評価がより高まる結果が示された。この研究成果は、2002年7月に開催された第49回北海道心理学会(タイトル:リスクの表現形式が主観的リスク評価に及ぼす影響)で報告された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Ohtsubo, Y., Masuchi, A., Nakanishi, D.: "Majority influence process in group judgment : test of the social judgment scheme model in a group polarization context"Group Processes and Intergroup Relations. 5. 249-261 (2002)
-
[Publications] 増地 あゆみ: "組織ストレス研究の現状と課題"北海道大学文学研究科紀要. 107. 53-71 (2002)
-
[Publications] 増地 あゆみ: "組織風土と安全行動"北海学園大学経済論集. 50. 101-109 (2002)