2003 Fiscal Year Annual Research Report
物体性及び空間性視覚短期記憶機構の加齢変容に関する老年認知心理学的研究
Project/Area Number |
14710038
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
木暮 照正 福島大学, 生涯学習教育研究センター, 助教授 (70343077)
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Keywords | 加齢変容 / 視覚短期記憶 / 視覚的特徴 / 物体 / 空間位置 / 空間関係 / 記憶単位 / 記憶容量 |
Research Abstract |
人間が外界を理解する上で,視覚情報を一時的に保持し,後の判断等に利用できることは,日常生活を恙無く過ごすためにも重要な認知的能力の一つである.本研究の目的は,この視覚短期記憶機構の加齢変容を解明することであり,平成15年度の到達点は,前年度の研究成果を踏まえて,1)30歳代から高齢期に至るまでの各年齢層を対象とした実験を設定・実施し,物体性及び空間性の視覚短期記憶機構の加齢変化について検討すること,及び2)加齢シミュレーション法に関する基礎的研究を開始することの2点である. まず1)に関して,前年度の研究成果を踏まえて,視覚短期記憶機構の加齢変容を検討するための実験条件を整備した.視覚短期記憶のうち,物体性記憶については,先行研究にならって視覚特徴(色及び方位)の一方のみを保持させる条件と両特徴を保持させる条件を採用した.空間性記憶については,前年度の研究成果に基づいて,空間位置ではなく,物体間の空間関係を保持させる条件を採用した. 福島地区にて30歳代から50歳代の被験者を対象にデータ収集を行った他,地域差の問題を検討することを視野に,異なる地区(名古屋地区)でのデータ収集を予備的に開始した. 2)に関しては,物体性視覚短期記憶の認知成績を左右する要因を同定する目的で,若年者群のみであるが,空間成分の手がかりを操作する実験を実施した.具体的には,物体の特徴を記憶保持する場合に,事前にどの場所に刺激が出てくるのかを予告することで記憶成績が変化するかどうかを検証した.いくつか異なる条件を比較したところ,空間位置の予告だけでは記憶成績は向上することはなく,場合によっては低下するという傾向が見られた.
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