2002 Fiscal Year Annual Research Report
健常児と自閉症児におけるチャンクの発達過程について
Project/Area Number |
14710042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川合 伸幸 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助手 (30335062)
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Keywords | 発達 / 記憶 / 自閉症児 / チャンク / 系列反応 / 数字 |
Research Abstract |
健常児と自閉症児のチャンクの発達過程について検討した。平成14年度は、主として健常児を対象とした実験的研究をおこなった。健常な4歳から10歳までの幼児・児童を対象に、コンピュータ画面上に1〜5個の、1〜9までの数字を呈示し、画面を触ることによって小さい数字から順に選択させた。子どもはいずれも、第一項目への反応時間がもっとも長く、他の項目の反応時間はいずれもほぼ同等であった。これらのことは、すでに4歳で一括処理方略をおこなっていることを示唆している。しかし4・5歳児は、第二項目以降の反応時間も完全には同じになっておらず、後の反応ほど短縮されていることから、逐次処理方略も併用している可能性が示唆された。また、すべての数字が異なる条件(e.g.,1-2-3-4-5)では、呈示される数字が多くなるほど、第一項目への反応時間がいずれの年齢でも直線的に増加したが、すべての数字が同じ条件(e.g.,1-1-1-1-1)では、呈示された数字の数にかかわらず、第一項目への反応時間が一定になるとの「チャンク」の効果は、6歳以降に見られ、この実験課題におけるチャンクの効果は4・5歳ではまだ出現しないことが示唆された。視線の走査パターンと、同一順序の数字を選ぶときの判断との関係を調べるために、視線解析装置を購入し、現在は成人を対象に予示的な実験をおこなっており、その装置を子どもに装着するための開発をしている。平成15年度には、5〜6歳の子どもを対象に視線を測定しつつ、「チャンク」の発達を検討する予定である。また、自閉症児を対象とした研究もおこない、比較検討する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 川合 伸幸: "系列的なシンボル操作の進化と発達"動物心理学研究. 52・2. 97-104 (2002)
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[Publications] Okamoto, Tomonaga, Ishii, Kawai, Tanaka, Matsuzawa: "An infant chimpanzee (Pan troglodytes) follows human gaze"Animal Cognition. 5. 107-114 (2002)
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[Publications] 川合 伸幸: "ジェスチャー・行為・意味(「自閉症児のことばの発達と手の動きの関係」を担当)"共立出版. 17 (2002)
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[Publications] 川合伸幸, 諸隈誠一, 堀本直幹, 田中正之, 友永雅己: "チンパンジーの認知と行動(「胎児の記憶」を担当)"京都大学学術出版会. 4 (2003)
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[Publications] 松野響, 川合伸幸, 松沢哲郎: "チンパンジーの認知と行動(「チンパンジーにおける色の知覚」担当)"京都大学学術出版会. 5 (2003)
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[Publications] 川合伸幸, 松沢哲郎: "チンパンジーの認知と行動(「チンパンジーの推移律とその一般化について」を担当)"京都大学学術出版会. 3 (2003)
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[Publications] 川合 伸幸: "チンパンジーの認知と行動(「ヒトとチンパンジーの数字の序列化課題における認知方略」担当)"京都大学学術出版会. 2 (2003)
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[Publications] 川合 伸幸: "チンパンジーの認知と行動(「チンパンジーの短期記憶」担当)"京都大学学術出版会. 3 (2003)