2003 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚情報の選択における注意機構に関する心理生理学的研究-抑制制御の観点から-
Project/Area Number |
14710056
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
赤井 俊幸 広島国際大学, 医療福祉学部, 講師 (60284139)
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Keywords | 注意 / 刺激選択 / 聴覚 / 事象関連脳電位(ERP) / 非注意刺激 / 抑制制御 |
Research Abstract |
聴覚情報の選択における注意機構に関して,抑制制御の観点から検討することが本研究の目的である。平成15年度においては,事象関連脳電位(ERP)を指標として,選択的聴取における非注意刺激の処理過程について検討した。具体的には,非注意刺激に対して150-300ms潜時帯で出現する陽性波(Pdi)の頭皮上分布に及ぼす刺激間間隔(ISI)の効果について検討した。 純音を左右耳に,200-500ms(短ISI条件)あるいは600-1500ms(長ISI条件)の刺激間間隔(ISI)で無作為な順序で呈示した。被験者には,指定されたいずれかの耳に注意を向け,時折呈示される周波数の高い音を検出するよう教示した。非注意刺激に対するPdiは,選択的聴取時の非注意刺激に対するERPから視覚注意時のERPを減算することによって算出した。 実験の結果,短ISI条件におけるPdiは,長ISI条件におけるPdiに比べて,前頭部寄りに分布していた。このISI効果は,先行研究においても報告されていたが,眼球電位の混入によるものと疑われていた。しかし,本実験ではAdjar法を用いることによって眼球電位の混入を除去したため,上述のISI効果は何らかの心理的情報処理過程と対応するものと推測された。Pdiが反映する処理過程については明確な結論は得られていないが,もしPdiが非注意刺激処理に対する抑制制御を反映するとすれば,本実験の結果は,ISIが短いほど抑制制御が前頭部寄りで機能することを示唆している。
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Research Products
(1 results)