2002 Fiscal Year Annual Research Report
可愛らしさに関わる感性情報処理の評価-刺激認知と欲求発現を脳機能から探る-
Project/Area Number |
14710057
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
岩城 達也 広島国際大学, 人間環境学部, 講師 (70341229)
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Keywords | 可愛らしさ / 顔 / 感性 / 欲求 |
Research Abstract |
本研究では、人工物を含めた顔の形態的特長と可愛らしさの関係について検討するために探索的調査を行った。これは、次年度以降に行う予定の保護欲求に関連した脳の情報処理過程を検討するために用いる刺激を選定する意味があった。まず、大学生60名について、可愛らしさについて自由記述形式で質問紙調査を行った。その結果、予想していた通り、可愛らしさについて人間の赤ちゃんを初め、小動物や動物の赤ん坊、およびアニメーションのキャラクタなどが高い評価を受けていた。この結果から、人間及び動物の赤ちゃん画像(生物)、縫いぐるみ及びキャラクタ画像を(人工物)それぞれ8枚ずつ用意し、大学生80名(男性45名、女性35名)を対象に、1)可愛らしさ、2)保護欲求の喚起性、3)接近・回避行動についての評定実験を行った。評定結果と刺激画像についての対応分析を行った結果、幼児性の次元と生物・非生物を表す次元が抽出された。抽出された次元を検討すると、縫いぐるみやキャラクタは幼児性が強いが、その一方で、非生物であるといった認識が可愛らしさや保護欲求に抑制方向で作用することを表していた。また、顔のパーツや輪郭などは、先行研究の結果と同様に顔の面積に占める目の大きさや位置などが幼児性を特徴づけており、これが可愛らしさの評定に関係していた。さらに、縫いぐるみやキャラクタは、これらの顔のパーツの特徴を誇張する格好でデザインされていることが示唆された。 他方、次年度に行う予定の脳電位測定の予備実験を実施した結果、刺激の提示時間によって、可愛らしさに関する評価が異なる可能性が示されたため、今後、感性評価における提示時間の影響についても考慮した上で、実験を実施する必要があることが分かった。
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