2003 Fiscal Year Annual Research Report
算数授業への参加を通じた児童の概念理解と関心の変化プロセス
Project/Area Number |
14710070
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤村 宣之 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (20270861)
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Keywords | 授業 / 既有知識 / 教授・学習過程 / 社会的相互作用 / プランニング / 関心 / 算数 / 児童 |
Research Abstract |
本研究では,授業という他者との相互作用場面への参加を通じて,児童の概念理解と関心がどのように変化するのかについて,算数授業における児童の遂行の分析と児童の概念理解・関心を問う調査の実施を通じて明らかにすることを目的とした。本年度は,児童の既有知識を利用した算数授業を継続的に実施することにより,授業時の児童の遂行(特に他者の示した意見の取り入れ方)がどのように変化し,それが児童の算数に対する関心とどのように関連するかについて,縦断的方法を用いて検討した。 小学校5年生1クラスの児童を対象に,「小数のかけ算・わり算」と「割合」の単元に関して,(1)児童の既有知識(整数倍の考えなど)を利用して日常場面に関わる課題を設定し,(2)児童に課題を個別解決させた後にクラス内で解法の比較検討を行い,(3)討論後に類似した課題を個別に解決するという形式を中心とした授業を継続的に実施した。各単元の授業過程のビデオ録画をもとに児童の授業場面の行動を分析し,授業時に用いられたワークシートの記述をもとに各児童の解法とその表現形式を分析した。さらに,学年終了時には,算数に対する関心を問う質問紙調査を実施した。 以上についての分析の結果,(1)全般的には解法の表現形式(特に他者が授業時に示した解法の利用の仕方)が,手続き中心の記述から意味理解にもとづく表現へと漸進的に移行すること,(2)一方で,手続き中心の記述にとどまる者も全体の1/3程度みられること,(3)手続き記述から意味付与へと質的に変化する時点は個人間で多様であることなどが明らかになった。また,意味理解にもとづいて解法を表現することと算数に対する関心の高さとの関連が示唆された。
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