2002 Fiscal Year Annual Research Report
流産・死産体験が対人関係に与える影響とトラウマ克服の対人過程に関する探索的研究
Project/Area Number |
14710109
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
増田 匡裕 広島国際大学, 人間環境学部, 講師 (30341225)
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Keywords | 喪失体験 / 対人関係 / トラウマ / コーピング / ソーシャル・サポート / 質的調査 / 流産・死産・乳幼児突然死症候群 / 社会的ネットワーク |
Research Abstract |
フィールドワークの手法を用いた本研究の初年度の主たる研究活動は、インフォーマントとの接触によるラポール形成と、適切且つ的確なインタビュー・プロトコル及び質問紙の質問項目の選定・考案の2点に絞られた。本研究は胎児の死という極めてデリケートな問題を扱うため、「データを取る」という研究者本位の態度を持たず、常にインフォーマントの意向に従う姿勢で研究活動を行った。具体的には「SIDS家族の会」や「NPO法人不育症友の会」などの自助グループの会合などに参加して、本研究への協力について打診した。またSIDSや不妊などに関する電話相談を行っている行政(東京都健康局など)や民間機関(「ウィメンズセンター大阪」など)の担当者に対して聞き取り調査を行い、本研究の潜在的なインフォーマントの社会的背景や実際に抱えている問題の諸相についての知見を得ることができた。これらの、いわば「現場の生の声を聴く」研究活動により、本研究は当初予定していたインタビュー法のみにこだわらず、むしろ質問紙調査に切り換え、その調査への参加者の中から希望者を募ってインタビューを行うという方式を取ることが、インフォーマントの保護という点で、より適切であるという判断ができた。このようにインフォーマントの人権を考慮した研究の準備を入念に行ったため、本年度は謝金を払う形式の調査を行わなかった。しかしながら、当初の計画通りに購入した機器やソフトウェアについては有効に活用した。具体的には、本研究で購入したフットペダル接続のMDレコーダにより、講演会における遺族の体験談などを録音した音声データの文字起こしが可能となり、質的分析ソフトウェアによって、多様な媒体による「生の声」を整理することが可能となった。この他には、本研究に必要な一般書・新聞記事及び学術文献について、再び検索・収集を行い、これまで作成してきた文献データベースに追加した。
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