2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ統合とグローバリゼーションをめぐる社会運動に関する研究
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14710121
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
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Keywords | 社会運動 / EU / 都市底辺層 / グローバリゼーション / 移民 / フランス / 貧困 / フランス |
Research Abstract |
データベースの作成 過去のEUサミットにさいして展開された社会運動についての新聞・雑誌記事検索とデータベースを作成し、ヨーロッパの社会政策の変容と社会的ヨーロッパを求める社会運動の生起の関係について資料を作成した。 社会調査 2002年8月にフランスにおける社会運動団体と運動の担い手となっている個人に対する聞き取り調査と資料収集を行った。具体的には劣悪な住宅環境の改善をもとめる「住宅への権利」運動、失業者による運動、社会的排除に反対する「ヨーロッパ行進」について、個人が社会運動に関与するようになったきっかけを個人の貧困の経験などライフヒストリーとして聞き取り調査を行った。また、社会的ヨーロッパを求める運動が、移民労働者の権利を求める運動など関連する運動とどのようなつながりを形成しているかについても調査を行った。 2003年1月にブラジルポルトアレグレ市で開催された世界社会フォーラムに参加し、社会的ヨーロッパを求める社会運動団体が、グローバリズムに反対する運動のなかにみずからをどのように位置付けているかについて聞き取り調査と資料収集による調査を行った。社会運動と国際機関の関係についても資料を収集した。 成果報告 グローバリゼーションと社会運動に関して、おもに理論的な側面から考察し、日本社会学会で成果報告を行った。また、貧困層を担い手とする社会運動、移民労働者という観点からの国際機関への異議申立てについては、論文執筆により、成果を報告した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 稲葉奈々子: "新しい貧困層と社会運動:フランスにおける『住宅への権利運動』のなかの移民たち"マイノリティと社会構造(宮島喬他編)東大出版会. 149-175 (2002)
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[Publications] 稲葉奈々子: "ホームレス・アンダークラス"思想読本・グローバリゼーション(伊豫谷登士翁編)作品社. 150-151 (2002)
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[Publications] 稲葉奈々子: "『共和主義的統合』の終わりと『多文化主義』のはじまり?:フランスの移民政策"移民政策の国際比較(小井土彰宏編)明石書店. (5月刊行予定). (2003)
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[Publications] 稲葉奈々子: "NPOの現在・社会運動の未来"市民が動く:フランスのアソシエーション法の100年(コリン・コバヤシ編)太田出版. (5月刊行予定). (2003)
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[Publications] 稲葉奈々子: "住宅への権利運動+失業に反対して連帯行動!→権利に向かって直進!!"市民が動く:フランスのアソシエーション法の100年(コリン・コバヤシ編)(太田出版). (5月刊行予定). (2003)
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[Publications] 稲葉奈々子: "国際人権基準と日本における移住者の権利保障の現状:ダーバン会議の宣言・行動計画から考える"部落解放. 第502号増刊号. 157-172 (2002)