2004 Fiscal Year Annual Research Report
少子化時代における21世紀型都市家族の生態学的研究
Project/Area Number |
14710136
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
片桐 資津子 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (20325757)
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Keywords | 少子化 / 高齢化 / 子育て支援 / 介護 / 家族 |
Research Abstract |
本年度は本研究プロジェクトの最終年度にあたるため、テーマの核心である<21世紀型都市家族>の理念型と全体像の把握を目指した。少子高齢化を見据えて、地域社会で介護や子育てをして暮らす人々の視点から、なぜ少子化が進展しているのかということを調べた。最終的には、調査をとおして、<ケアの社会学>、<育児と介護の社会学>の構築の入り口に立った。 本プロジェクトにおいて調査対象としたのは、札幌市中央区、北海道当別町、春森県八戸市、東京都渋谷区、京都市東山区、鹿児島市、鹿児島県国分市、そして鹿児島県離島地区であった。調査には、基本的にはヒアリングとフィールドワークを中心に行ない、部分的に質問紙票を配布する方法をとった。 第一の研究実績としては、合計特殊出生率が高い多産他域においても確実に少子化は進んでいる。その理由は、"仕事"と"住居"が未整備であるため、若者人口が都市部へ流出しているためである。仕事と住居のいずれか一方が抜けても若者人口が流失し人口減少地域になる。行政はこの点を自覚し、高齢者だけでなく若者の支援を目的とする政策を打ち出していく必要がある。 第二に、人口が集中する都市部では、概して合計特殊出生率が低く、若いカップルの多くは出産を控えている。産み控える若者の特徴は、キャリア志向の場合には、出産・育児を支援体制が、<上司-配偶者-実母>のトライアングルの上に成り立っており、これらの要素が一つでも欠けると若いカップルにとって育児はきわめて困難になるという現状がある。過疎地域では、これらの他に、義母、兄弟姉妹、同級生、祖父母などが加わり、強固な支援ネットワークのもとで育児が可能になっている。これらの発見的事実は早急に論文としてまとめていく。 以上のように、本研究は<ケアの社会学>を確立するための入り口に立てたに過ぎない。今後は、北欧など福祉先進国家との比較研究を継続していく必要性を強く感じる。
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