2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者当事者参加型の地域精神保健福祉システムのあり方に関する研究
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14710140
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
清水 由香 (丸山 由香) 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助手 (90336793)
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Keywords | 精神障害者 / 地域精神保健福祉 / 当事者参加型 / ピア・ホームヘルパー / ピア・サポート |
Research Abstract |
I.当事者同士によるピア・サポートの生活支援サービスの機能と役割、そしてその効果の明確化に向けて、今年度は大阪府での精神障害者ピア・ヘルパー養成事業の修了者を対象に同窓会でのグループ討議の参与観察と質問紙調査を実施した。就労状況の把握や就労者の就労生活や援助の実際への適応に関する課題を探索、整理することを目的とした。 当事者20人、支援者17人の質問紙調査の結果や参与観察から、就労者らは他者の役に立っているということへの満足感があると同時に、援助技術の未熟さや自信のなさ、就労生活のストレスへの対処も重要な課題として挙げられた。また修了者同士のサポート関係を展開できる同窓会には半数以上の者が肯定的な評価をし、同窓会が重要なサポート資源となっていることがわかった。 参考事例として当事者職員が就労する生活支援センターでのヒアリングから、当事者(被援助者)と当事者援助者との曖昧な境界のとり方が難しいことが伺えた。また、ピアという対等性は長所だが、援助者職員という枠を導入することで対等性のよさが相対的に弱まることがある。以上からピアというオルタナティブなケア方法を、公式な制度の中に組み入れて行うことの限界や条件をさらに検討しなければならない。 II.地域精神保健福祉システムの中でどのように当事者参加の促進していくのか、2つの予備的調査を実施した。1つは精神障害者の当事者参画に対する行政職の意識を郡部の町・県行政職の628名の回答から分析し、70%は当事者の保健福祉計画立案や協議への参画や施設運営への参画に賛成ということがわかった。もう1つはサービス利用者側の意識について、当事者自身がピアの立場で援助を受けたいのか、都市部B市在住の保健センターグループワーク、小規模作業所の利用者に質問紙調査を実施した。分析対象者69人のうち「ピア・カウンセラーへの相談」を7割が希望し、悩みごとの相談への期待が高いということが明らかになった。
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