2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者当事者参加型の地域精神保健福祉システムのあり方に関する研究
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14710140
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
清水 由香 (丸山 由香) 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助手 (90336793)
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Keywords | 精神障害者 / 精神障害者地域保健福祉 / 当事者参加 / ピア・ホームヘルパー / ピア・サポート |
Research Abstract |
平成13年度に大阪府による精神障害者ピア・ヘルパー養成事業の修了者を対象に、ピア・ヘルパー(以下、PHr.と略)としての就労の課題に焦点を当てて、2つの調査を実施した。1つPHr.活動の発展と障害の特性を考慮してどのような就労の支援環境が必要か検討することを目的に事業所のコーディネーターを対象に、2つめは、就労者本人を対象に調査した。コーディネーター調査は、府内8箇所を対象に訪問面接調査を行った。その結果、PHr.の課題は、利用者との関係づくりは得意だが、障害の特性から臨機応変な対応・事務処理・家事援助が苦手であることが明らかになった。量的な労働負荷がかからないような勤務形態であり、コーディネーターは精神的な負担回避のため、利用者とヘルパーのマッチングへの配慮や訪問終了後にその都度話を聞いたりミーティングをもつなどの実践が明らかになった。これらの実践の背景には、精神障害の特性を十分理解し、関わりの経験をもつコーディネーターであったことが影響していると考えられた。一方、就労者本人の調査では、就労者12名に面接調査を呼びかけ、呼応した5名に半構造化面接を行った。面接協力者のすべてに生活への興味や関心の拡がり、自信の獲得など、精神的な充実感が認められた。また、すべての人が援助過程の中で悩み、体調管理の重要さなど困難も認識しているが、周囲の関係者に相談するなどの対処がされ、前向きに就労に取り組まれていた。これらの結果の要因として、彼らは共通して精神障害者社会復帰施設関連で雇用され、事業所職員らが就労者の障害特性を理解している環境での就労であること。そして、彼らはある程度の社会人間関係の経験をもち、周囲の人に相談するなど、困難に対処できる資源や力があったからと考える。また、彼らは相談できる人や機会が確保されることを要望しており、ストレス対処を考慮した支援環境が求められることが明らかとなった。
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